お産お痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩」。大阪大学医学部附属病院は無痛分娩の希望に応じてきた関西有数の医療機関だった。ところがいまその対応を休止している。阪大病院では2016年から希望する人に無痛分娩を行ってきた。こだわってきたのは安全。薬などで陣痛を起こすことはせず自然な陣痛を待つ方法を維持してきた。そのために必要なのは24時間常駐する麻酔科医。陣痛が起きたら痛みに応じて麻酔科医が麻酔を行い、万が一異変が起きた場合も対応できる体制をとってきた。しかしその麻酔科医の不足を理由に今年2月、持病があるなど一部の妊婦を除き無痛分娩の休止を決めた。無痛分娩に対応していた麻酔科医が減った一方、麻酔が必要なほかの手術は増え続けていた。現在のレベルの安全性を維持しながら無痛分娩に対応していくことは難しいと判断した。国内でトップレベルの医療を提供する大学病院ですら麻酔科医が足りない。記事では年間1万2000件の手術を支える阪大病院の麻酔科の1日に密着し、その実情に迫っている。