山形県にあるベンチャー企業が、世界でも類を見ない開発が行われている。生地の元になる物質を微生物発酵によって作っている。微生物のエサとなる糖が入った液体に、特殊な微生物を加えると白く変化する。この時に作られるのが、生地の元になるたんぱく質。乾燥したり固めたりいくつもの加工をしていくと、最終的には紡ぐことによって糸状になる。ウールのような保湿性、シルクのような滑らかさ、蜘蛛の糸のような耐久性など、自然界にあるたんぱく質でできた糸のいいとこ取りをして作られた人工たんぱく質。たんぱく質の設計図となるDNAを用途に合わせて調整し微生物に組み込む。すると微生物が発酵しながらたんぱく質を作り出す。増殖して指示通りのたんぱく質をたくさん作るという。この企業では18年にわたり様々なDNAパターンや発酵条件で実験。試行錯誤の末に独自の技術を蓄積。その結果、様々な素材を作り出せることができるようになった。去年には、宇多田ヒカルのライブ衣装に採用。さらに環境への優しさも特徴。服の大量廃棄が問題となる中、人工たんぱく質素材は自然分解ができて土に返すことができる。加えて、製造工程ででる温室効果ガスや水の消費量を大きく減らせるという試算もある。