時論公論 (時論公論)
ドナルド・トランプ氏は大統領選挙戦を通じ、製造業などの労働者を海外の輸入品から守るため、関税をかけるとアピールしてきた。また、減税策が景気を刺激させ、物価上昇が予想される。一方で、減税によって歳入減少、財政悪化が懸念され、長期金利の上昇という見方もあり、より高い利回りが見込めるドルを買う動きが強まるという観測から円安が進んでいる。輸出を中心とした活動をする大企業にとっては収益を改善させるが、国内での活動を中心とした大企業、中小企業にとっては業績悪化のおそれがある。日銀の植田総裁は「新大統領が打ち出してくる政策次第では新たなリスクが出てくる」という認識を示している。今後の金融政策をめぐって、国内経済、加えてトランプ氏の動向を注視する必要がある。