ブレイクスルー (ブレイクスルー)
今回は東京大学駒場キャンパスに訪れた。東京大学先端科学技術研究センターは事業費を民間企業も拠出している。本日の開拓者は稲見昌彦副所長。稲見さんは人間拡張という研究をやっている。早速研究室に入り、稲見さんはロボットアームの自在肢を背負ってきた。そしてミニ自在肢があり、稲見さんの自在肢と連動しながら操作することができる。稲見さんは将来AIに学習させて人を補助、身体のように活用できるロボットとして研究に繋がるのではと話す。更に稲見さんは拡張デバイスを披露した。デバイスは第6の指というデバイスで、自身の指のように自分の意思で動かすことができるようになっている。このデバイスは筋電センサーで筋肉の電気信号を計測しながら操作ができる。
実際に相場さんが使用し使いこなすことができた技術。しかし開発の狙いは思わぬところにあった。この第6の指を使用した後、デバイスを外すと喪失感を感じる人がほとんどだという。 この感覚が身体と道具の間を解明するための研究につながっているのだという。
相場さんは拡張の意味は補助ではないということについて迫った。稲見さんは自在は人間中心でそれにどのように技術を加えることができるかということであり、最終的にはモチベーションも拡張できるかもしれないと話した。人は道具を使うことで他の霊長類とは違う立場を得たとしているが、今後はコンピュータやAIも自分の身体と一体化させることで超人的な能力を獲得できるようになり、一つの人間の進化になるのではと話す。この研究は稲見さんは幼少期の頃運動が苦手だった。転機となったのはロサンゼルスオリンピックの時、開会式で背中にロケットパックを背負った人がスタジアムの上空を飛んだ姿にテクノロジーの可能性を感じたという。
稲見さんは大学では生物工学を学ぶ傍らでロボットサークルにも所属していた。そして稲見さんが世界に知れ渡るようになった原点の研究を見せてもらった。稲見さんはグレーのコートをまとい、機械を通して見ると透明に見える。この光学迷彩を稲見さんが1999年に発表した。この光学迷彩はプロジェクターと反射素材のみで実現しており、あらゆるものを組み合わせて今までにないものを生み出すのが稲見さんの研究の真髄である。この光学迷彩を使用して、2020年には京セラと稲見さんは死角になる道路を透視することができる車を共同開発した。さらにJINSと共同開発したメガネは目でスマホを操作し、集中力や眠気を見える化できる。
人間拡張の技術は最先端ゆえの孤独がある。この技術について理解されない壁をどのように突破するか。稲見さんは研究でどれだけ面白いと思っていても世の中に広まるとは限らず、社会の壁をどのように取る払うかが重要と話した。ひらめきや驚きが壁を破ろうとしている原動力であり、稲見さんは驚きや面白さがないと多くの人には伝わらないと話した。大学では企業と違い直接的に世の中を変えることはできないが、新しい体験をすることで見え方が変わり、世の中の見え方が変わるところまでいくと自身の研究室らしい研究になると話した。