“空翔ぶバイク”なぜ破綻? スタートアップの光と影

2024年2月26日放送 19:32 - 19:40 NHK総合
クローズアップ現代 スタートアップは社会を変えるか”革新的ビジネス”の光と影

空飛ぶバイクは3年前に日本国内で発売され注目を集めていた。開発したのは日本のスタートアップ企業A.L.I.Technologies。技術チームのトップはSONYの元執行役員。日本の大手企業などの様々な技術を結集させ、次世代を担う乗り物として開発をすすめていた。期待が高まり国内の有名企業から集まった投資額は50億円以上(STARTUP DB調べ)。今年1月、突然経営破綻が明らかになり、負債総額は20億円に達している。注目のスタートアップはなぜ失敗したのか。山田希彦さんは去年5月までA.L.I.の親会社の社外取締役を務めていた。山田さんが経営破綻の大きな要因と考えているのは、実態に合わない過度な宣伝。バイクは時速80キロで最大40分間空を飛び回れるとPRしていたが、実際には様々な課題があり風が吹く屋外で飛び回ることは難しかった。元従業員が取材に応じた。社内のミーティングでは性能を誇張するようなプロモーション映像を制作する会社の放水に、技術者から異論が出ていた。しかし、巨額な資金を集めるためには投資家に対するプロモーションに力を入れ続けるしかなかったという。去年3月、最後の切り札として富裕層の多い中東でのデモンストレーションを行ったが、機体は30秒間浮いただけで失敗した。
A.L.I.の突然の経営破綻は事業に協力した自治体にも影響。過疎化がすすむ山梨県見延町は経済効果を期待し、開発拠点として廃校を貸していた。しかし、本年度の賃料200万円が未払い。山梨県も新たな交通システムを構築するとしてA.L.I.と連携協定を締結し、750万円の補助金を支給していた。A.L.I.には経済産業省が少なくとも2500万円の補助金を支給、国土交通省は事業を委託し7000万円を支払う契約を結んでいた。日本のスタートアップ企業の数は10年で3倍、2万社を越えているが、経営破綻する会社も多く消費者が影響を受けるケースも出ている。高級腕時計のシェアリングサービス・トケマッチは先月末に運営会社が突然解散。800本以上、18億円相当の腕時計が未返却だという。時計を預けていた男性はスタートアップとして信用していたと話す。スタートアップに詳しい弁護士はスタートアップに対するイメージダウン、頑張っている起業家にお金が集まりにくくなることがリスクだと話した。


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山梨県経済産業省身延町(山梨)国土交通省A.L.I.TechnologiesソニートケマッチSTARTUP DB

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