午後LIVE ニュースーン 蔵出しセレクション
今日は石工の左野勝司さんを取り上げる。左野さんは去年亡くなった。左野さんはイースター島のモアイ像の修復等を手掛けてきた。左野さんは昭和18年に和歌山県で生まれた。父は石工だった。中学卒業後、石工の修行を始めた。その後、奈良市で石材店を創業し、文化財の修復等に携わるようになった。昭和59年には奈良の石舞台古墳で考古学者と共に再現実験に取り組んだ。修羅等を再現し巨石を人の力で動かしてみせた。
しかし、左野さんは45歳の時に修復を手掛けていた寺で原因不明の火災が発生した。左野さんは損害を負った。そんな時、森本孝順さんが手を差し伸べてくれた。森本さんは貯金通帳をくれたのだという。左野さんはそれ以来、難しい依頼にも応えていった。高松塚古墳の石質解体によって左野さんの技術が知られるようになった。石質は凝灰岩で造られていた。左野さんは器具を開発してレプリカを造りテストを繰り返した。平成19年に解体の本番を迎えた。飛鳥美人が描かれた壁と隣の石との間に隙間がなく器具が使えなかった。左野さんは石を持ち上げ隙間に棒を並べた。棒の感覚や角度を測りながら少しずつ動かした。釣り上げ成功と思われた瞬間、ワイヤーが外れ飛鳥美人が揺れた。国宝は無傷だった。全ての石を取り出す事に成功し文化庁長官の表彰を受けた。左野さんは海外にも技術を伝えている。