国際報道 (特集)
アメリカとメキシコの国境にあるシウダーフアレス。国境沿いにある街の中でも最大限規模の産業の拠点で、検問所に向かうトラックの列は1キロ以上におよぶ。街の産業を支えてきたのは、マキラドーラと呼ばれるメキシコ政府の優遇措置。主にアメリカから投資を呼び込むために設けられた。認定されたメキシコの企業は、外国企業の委託をうけて材料や部品を輸入。工場で組み立てと加工をしたうえで輸出する。この輸出入の際に関税がかからない。やすい人件費を武器にマキラドーラを利用するのは320箇所。働く人は30万人以上に。しかしトランプ大統領が掲げる関税によって業界には暗雲が立ち込めている。自動車は電気設備関連の部品を作っている会社は、アメリカから輸入した材料で部品作り。組み立てた製品やアメリカに輸出されるが、関税がかかるようになればコストに直結する。関税の懸念の盈虚は2年前にトランプ大統領が再選を目指して活動を始めた頃から街で見られはじめた。この会社では去年1月に先行き不透明さなどから80人いた従業員は20人にまで減らした。業界団体では、情報収集や企業などからの相談におわれているが、投資を控えたり、リスク分散のためにアメリカに工場を移転させたりする動きも出ていて、この2年間で雇用が5万人減少した。