ザ・ノンフィクション ボクらの丁稚物語2025 16歳 夢の行方と迷い道 後編
全国大会への出場をかけた技能五輪の予選会。秋山木工の新人の中からその切符を勝ち取ったのは新人の木村くんただ1人だった。住み込みの内弟子・兵庫くんは合格の基準となる90点とは程遠い残念な結果となった。その翌日、話を聞こうと寮を訪ねてみるとなんだかバツが悪そうな兵庫くんが出てきた。実はこの日の朝、兵庫くんは体調不良を訴え実家に帰ることになったという。会社の人が駅まで送ってくれる。一旦実家に戻ることを進めたのは秋山社長。丁稚の先輩2人が実家に戻り自らは技能五輪で予選敗退。兵庫くんは疲れ果てていた。秋山社長が声をかけ、急遽お母さんが静岡から仕事を抜けて迎えに来てくれた。お母さんは息子の顔を見るのは入社以来、2カ月ぶり。秋山社長は実家で英気を養い強くなって戻ってくると信じて待つ。兵庫くんが実家に帰ったこの日、入れ替わるように松下くんが千葉の実家から戻ってきた。1週間ぶりだ。真っ先に向かったのは社長のもと。お世話になっている事務の人たちにも挨拶した。誰もが松下くんの帰りを待っていた。松下くんが実家に戻っているあいだに静岡へ帰った兵庫くんは二度と戻っては来なかった。一番近い先輩、8年目の内藤さんがいまは松下くんの相談相手だ。7人いた新人も技能五輪の予選会を境にバタバタと辞めていき、残ったのは2人。