世界が認めた俳優 役所広司の意外な素顔

2023年12月17日放送 8:32 - 8:43 日本テレビ
シューイチ 中山のイチバン

俳優・役所広司、67歳。数々の話題作に出演、圧倒的な演技力で幅広い役をこなす国民的俳優。1996年公開の映画「Shall we ダンス?」では、社交ダンスにのめり込む冴えない男を熱演。作品は大ヒットし、日本アカデミー賞で13部門を受賞。以来、日本の映画史に名を残す様々な作品に出演。そして今年5月、フランスで開催された世界3大映画祭の1つ、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。日本人では柳楽優弥さん以来19年ぶり2人目の快挙。世界中から称賛を浴びた。
カンヌ国際映画祭最優秀男優賞。役所は、海外メディアの取材が多かったという。会場の評判がよく、最優秀男優賞いけるのではという空気感があった。映画自体とても評判がよかったのでみんなで喜びあった。
最優秀男優賞を受賞したのは、来週22日に公開される映画「PERFECT DAYS」。役所は、東京・渋谷で公衆トイレの清掃員として働く主人公の平山を演じる。物語の軸となるのは、ドキュメンタリータッチで描かれるトイレ清掃員・平山の日常。朝起きて身支度、仕事へ出かけ、黙々とトイレの清掃、一仕事終えた後は銭湯で疲れを癒やし、飲み屋で一杯、夜は小さな明かりで読書をしながら眠りにつく。たわいない生活の中で小さな喜びを感じながら充実した人生を過ごす様子が描かれている。
仕事を一生懸命やって好きなことをやって、1日満足して眠りにつく毎日が描かれていく。役所は、自分の満足を知る豊かな生き方だという。静かだが非常にドラマチックに表現されている。セリフは少なくほとんどしゃべっていない。
主人公の平山は、無口な中年男。その感情の機微を、役所はしぐさや表情で表現した。ドイツ出身で現代映画を代表する監督ヴィム・ヴェンダースは、役所の演技を「他の俳優でも平山を演じることはできるだろう。けれど役所広司は平山そのものになった」と絶賛した。
国民的俳優の意外なプライベート。一番好きな食べ物は、好き嫌いはないがこんにゃく。休日は、起きて「今日は休みだ」と何をやるか考え、結果的に夜、朝起きたパジャマのままで「なんにもできなかったな」というのが最高の休日。ジムは時々行くけどほとんどジムに寄付しているような。中々続かない。ウォーキングをする。セリフを覚えながら。体を動かしながらの方が覚える。
18歳で長崎から上京し、仲代達矢さん主催の演劇集団「無名塾」に入った。その前、東京に来て区役所に就職し、4年務めた。無名塾に入った時は、「俳優になりたい」というより「どんな世界だろう」という、演劇が好きで、舞台俳優になりたくて入った。「役所広司」の芸名は役所にいたから。仲代さんが、本名が橋本広司だが名前が面白くないので「役所」にしろと。候補は、役所・諫早・八百作だった。俳優としての思いはそんなに強くなかった。いいかげんだった。稽古していても楽しいと思わなかった。
役者の道に進むも芝居の難しさに悩む日々。ある日、仲代さんに「息してるの?」と聞かれた。呼吸している記憶がなかった。「息をしながら芝居をやってごらん」と言われ、息を意識し始めて、こんなに楽なんだと思った。芝居の第一段階。こうして、芝居の楽しさを知った若者が、いまや世界が認める俳優に。来年の元日に68歳を迎える役所広司さん。いま感じている芝居の楽しさとは。演じる人物の職業を知ることは大事。自分と違う生き方をするのが俳優の面白さ。
「PERFECT DAYS」は12月22日公開。静かな映画だが、自分に与えられた生活に満足しながら生きていく男を見ることになる。自分の現状に満足することを知ることは、一番幸せなこと。


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