NHKニュース7 (ニュース)
新たな経済対策が臨時閣議で決定した。民間の資金も含めた事業規模は、39兆円程度となる。一般会計からの支出は13兆9000億円程度となる見通し。日本経済地方経済の成長では、賃上げ環境の整備として、中小企業への支援策を多く盛り込んだ。また、賃金所得の増加を全国に波及させる政策として、地域資源を活用した農林水産業や観光などの高付加価値化や、デジタル化の推進を支援するとしている。さらに、国内のAIや半導体産業を下支えするため、10兆円以上の公的支援を行う枠組みも盛り込んだ。当面の物価高への対応では、電気ガス料金の補助を来年1月から再開し、3月まで実施するとしている。経済産業省によると、標準的な家庭の場合、1月と2月は電気代で1000円、ガス代で300円、補助が縮小する3月は、電気代で520円、ガス代で150円、それぞれ負担が減るとしている。国民の安心安全の確保では、闇バイトによる犯罪が社会問題となる中、防犯機能の高い住宅のドアや窓ガラスの設置に対する補助の拡充や、いわゆる「青パト」と呼ばれる車両の整備や、サイバーパトロールの強化なども打ち出された。
新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案での一般会計からの支出は、13兆9000億円程度となる見通し。補正予算の規模は、コロナ禍前は多くても5兆円程度だったが、2020年度以降は、コロナ対策などとして10兆円から30兆円規模の編成が続いた。物価高克服、経済再生実現。その財源の多くは、新たな借金に当たる追加の国債発行で賄ってきた。今回の経済対策に伴う補正予算案での支出規模は、昨年度を上回ることになり、国債を追加で発行する可能性もある。
新たな経済対策。では、年収が103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」について、税制改正の中で議論し、引き上げると明記された。自民、公明両党が、国民民主党に歩み寄る形となった。国民民主党・古川税制調査会長は、「30年ぶりに壁が動く大きな一歩だ」としたうえで「どうなるかはまさにこれからだ」とした。年収103万円の壁の見直しを巡っては、来年度の税制改正に向けた議論の中で、制度設計など、具体的な検討が進められる見通し。