モーサテ 深読みリサーチ
SMBC日興証券の宮本剛シニアアナリストによると、化学セクターの4~6月期の状況は円高に加えて原油安に伴う在庫評価が業績の圧迫要因になっている可能性がある。トランプ関税の影響としては事業内容が多岐にわたるため影響も広範になるだろうが、直接影響は必ずしも大きくない。それ以上に電子機器や自動車生産が低下した場合の影響により注意すべき。化学セクターの注目ポイントは「エチレンプラントの再編」と「中国の素材メーカーとの競争」。日本のエチレンプラントの稼働率は長期的に減少傾向にあるが、来年度からエチレンプラントの再編が進む見通し。また素材メーカーは、中国メーカーとの競争に巻き込まれにくい事業の拡大がより重要。宮本が注目する化学セクターの銘柄は、三井化学、旭化成、信越化学工業、SUMCO、東京応化工業。三井化学はエチレンプラント再編による恩恵が大きい。自動車生産の動向には注意が必要。旭化成は海外でのM&Aを有効に活用できている。ヘルスケア領域にシフトしており、中国メーカーとの競争に巻き込まれにくい事業が拡大している。リスク要因はアメリカのEV市場の見通しの悪化。信越化学工業は、塩化ビニール樹脂とシリコンウエハーで世界トップシェア。中国メーカーを圧倒できるようなコスト競争力を誇る企業として勝ち続けることができるだろう。アメリカの住宅着工件数の低調が長引くと、業績が伸び悩む可能性がある。