さわやか自然百景 (さわやか自然百景)
北海道の東、西別岳をはじめとする火山の麓にある西別川。長さは約70kmで、過去の大規模な噴火で火山灰が積もった大地を蛇行しながら流れる。氷点下の日々が続く3月。森は深い雪に覆われ緑はほぼなく、生き物たちにとっては食べ物が乏しい厳しい季節。しかし、西別川は水の中に青々とした植物が生い茂っていた。水質の悪化や変化に弱く限られた清流にしか生息しないバイカモは、きれいな湧水と凍らない西別川で繁殖していた。そのバイカモにはトビケラの仲間の幼虫がいる。こうした虫が多くいることで、様々な生き物がバイカモの茂みに集まってくる。魚たちはバイカモに潜むたくさんの水生昆虫などを糧に大きくなっていく。卵からかえったばかりのサケがバイカモに隠れて天敵の目をかいくぐりながら海へと旅を続けていく。カワガラスは水中を泳いで水生昆虫などの狩りをする。獲物が多いバイカモの茂みはカワガラスの格好の食事場所となる。西別川が育む魚を目当てに多くの鳥がやって来る。西別川の恵みを求めて森の奥からやってくる動物がいる。現れたのはエゾシカ。川に入りバイカモを食べている。4月、少しずつ雪解けが進む。水量が増え、勢いを増した滝の下にやってくるのはカワガラス。繁殖期を迎え、産卵や子育てに使う巣を滝の裏に苔で作っている。豊富な湧き水がもたらす多くの恵み。火山の大地が特別な清流を作り出し、その川は長く厳しい季節を乗り越える生き物たちを支えていた。
