首都圏ネットワーク (ニュース)
今月7日に投開票が行われた東京都知事選挙には、過去最多56人もの候補者が名乗りを上げる異例の選挙戦となった。フリーライターの畠山理仁は「なぜ選挙に出るのか、その理由を知りたい」とこれまで25年以上にわたって延べ2000人余りを取材してきた。今回も56人の候補者のうち54人に直接取材し、会うことができなかった2人にもSNSでやり取りしたり関係者への取材を行ったりした。4回連続で立候補した内藤久遠候補は、みずからの声で訴えを届けたいとあえてメガホンを使い東京一極集中の緩和などを訴えた。個人演説会を開く新藤伸夫候補は、家庭に毎月一定の金額を支給し出生率の上昇などにつなげたいと主張する。新宿駅前で1人街頭演説を行う福本繁幸候補は今回初めての立候補で、献金や寄付は一切もらわず都民の目線に立った政治を実現したいと訴える。畠山は、選挙が当選を目的とする以上にみずからの考えを多くの人に訴える場として注目されるようになっていると考えている。一方、今回の選挙では有権者にみずからの主張を広げるため過激な手法を使う候補者やほかの候補者の人権を踏みにじるような受け入れがたい言動をする候補者も見られた。そのうえで有権者にとって納得感のある選挙にするため候補者を見極め政治に積極的に参加する姿勢が求められていると感じているという。今回の選挙では立候補した56人のうち53人の得票はいずれも有効投票数の10分の1に達しなかった。このため、53人の供託金を合わせて1億5900万円が没収される。畠山は供託金の没収があっても立候補する人が増えたことについて「今の政治への不満が背景にあるのではないか」と分析していた。また今回の選挙でも候補者と有権者の間にコミュニケーションが生まれにくい状態が続いたことが大きな課題だと感じたと話していた。