午後LIVE ニュースーン おとりよせ@千葉
案内してくださったのは千葉県の素掘りトンネルについての著作もあるフリーライターの和田亜希子さん。最初に紹介してもらうのは夏こそ訪れてほしい場所だという。君津市にある素掘りトンネル「清水渓流広場(濃溝の滝・亀岩の洞窟)は今から300年以上前に農業用水を通すために掘られた。今はこのトンネルのある場所は公園になっていて、夏になると水遊びをして涼を感じる人もいる。しかもこのトンネルは絶景スポットとしてもSNSで話題になっているそう。3月と9月の早朝にトンネルから差し込む光がハート型に見える景色は絶景として大人気だ。そんな素掘りトンネルは房総半島各地に残っている。作られた目的は集落どうしを結んだり農業用水を通したりなど様々。また数多く作られたのは房総丘陵の「砂泥互層」という地質が掘りやすい一方で崩れにくかったからと言われている。その多くは地元の人たちの手で掘られたが、工事の予算も少なく完成したときに完成祝もしなかったそう。次に和田さんに紹介してもらったのは「「燈籠坂大師の切通しトンネル」」。上り下りが急な道をなるべく平坦にするために掘られた。そのため高さは約10mもある。このトンネルでは多くの素掘りトンネルに共通する魅力を堪能できるという。素掘りトンネルは人力でノミやツルハシといった工具を使い掘っているのでその掘り跡と思われるものがいたるところに残っている。和田さんはこの掘り跡を見ると当時の人が少しでも暮らしを良くしようと大変な思いをして掘った苦労が忍ばれるという。続いて案内してもらったのは和田さんが素掘りトンネルに夢中になるきっかけになった君津市正木地区のトンネル。数メートルほどの短いトンネルの先にあったのは湖と崖に囲まれた狭い土地。そこには何やらほこらのようなものが。この謎を解き明かそうと地元の人に聞き込み取材をすることにした。聞き込み取材でわかったのはあの土地から見えていた湖はダム湖で建物は「日枝神社」だということ。少しずつ謎がとけてきたがさらに詳しい事情を知っている人を訪ねた。千葉県立中央博物館の島立理子さんだ。まず島立さんが見せてくださったのはあの場所が乗った江戸時代の古地図。「山王」と書いてあるところがあの日枝神社のある場所。そしてその側のダム湖がある場所にはかつて集落があった。その集落から神社までは道が通じていたという。あのトンネルは集落からの道がダムで水没したために代わりに掘られたと考えられる。これで謎はとけたが「トンネルを掘るより神社を移すことは考えなかったのか?」という疑問が残る。島立さんは「たぶん房総丘陵の人にとってトンネルというのは非常に身近な存在だった。房総丘陵を歩くと山じゅう穴だらけ。それくらい地域の人はトンネルを気軽に掘っているので、トンネルで解決しようということになったんだと思う。」と話した。和田さんによると長い素掘りトンネルは夏でもひんやりしているので今の時期がオススメだという。そして地域の方の生活道路になっているので訪れる際は交通の妨げにならないように注意を。