新美の巨人たち 新美の巨人たち
マウリッツ・エッシャーは1898年にオランダ北部の街のレーワルデンに生まれている。21歳の時に装飾美術学校のグラフィック・アート学科で版画を始めた。そこから生涯版画家であることが誇りだった。学生時代のエッシャーの自画像「椅子に座っている自画像」は低い視点からの構図は、すでに類稀なる才能を疑わせている。平地の多いオランダを離れ、イタリアを旅行するようになると、起伏にとんだ地形に興奮するかのように、風景画に没頭。その正確で緻密な描写が特徴で、スペインのアルハンブラ宮殿でみた、モザイクタイルに衝撃をうけた。同じ模様で平面を埋め尽くす正則分割にエッシャーは夢中になり、無限や極限、循環と言った高度な数学を視覚的に美しく表現した。正則分割は鳥の作品でも。白い鳥と黒い鳥が左右に飛んでいく昼と夜という作品は生涯で最も評判になった作品。エッシャーはこうして鑑賞者の目を驚かせたが美術界の評価にはほとんど興味を示さなかったが自らの表現を追求していった。
