漫画家イエナガの複雑社会を超定義 (漫画家イエナガの複雑社会を超定義)
ChatGPTが注目されている。昨年11月に発表されてから2ヶ月間でユーザー数は1億2300万人を突破した。Microsoftも約100億ドルの投資を発表した。世界中でAI開発の主導権をめぐり激しい競争が展開されている。AI戦国時代の中心には「大規模言語モデル」という技術がある。一方で、急速な進化に対する懸念も出ている。今回は、AIとの未来やそれへの備え方などについて特集する。
2015年、シリコンバレーにイーロン・マスクらが集まり、人間と同レベルの学習能力・知能を持つAIを開発し、世界経済・科学技術の発展や人間の創造性に寄与すること(AGI計画)が打ち立てられ、OepnAI社が作られた。AGIを実現させるためには言語、音声、画像の3つの技術的ブレイクスルーが必要となる。これができると見たもの聞いたものを人間と同じように理解するAIが作れる。まずは「言語」(大規模言語モデル)の作成に取り掛かった。大規模言語モデルとは言語を生成するAIの中心技術で、膨大なテキストデータからあらゆる質問に文章での回答が可能になるという技術。2018年に作られたGPT-1から改良を重ねていき、2022年11月にChatGPTのリリースに至った。改良されるごとに、数値が高いほど高度なデータ処理が可能であることを示す「パラメータ数」が上昇した。ChatGPTからさらに質問を正確に理解し最適な文章を生成する能力が向上したGPT-4も開発され、アメリカ司法試験では上位10%に入るスコアを獲得した。ChatGPTのプラグインやAPIを使った新しいサービスやアプリも続々登場している。プラグインとは、ブラウザに機能を追加でき使いやすくするためのプログラム。例えば、予約サイトにChatGPTのプラグインを入れると、旅行プランや最適なホテルを提案してくれるようになる。APIとはソフトウェアやプログラムなどをつなぐインターフェースのことで、YouTube動画とChatGPT
をつないで音声をテキスト化したり、ChatGPTと会話ができたりなどに応用できる。今後はAIと会話するサービスがたくさん生まれてくると考えられる。ChatGPTに負けていられないと、世界のテック企業が続々と大規模言語モデルを開発し、競争は激化している。一方で、世界各国で進化するAIをめぐり論争が起きている。欧米では規制に乗り出す国も出始めている。日本ではOpenAIのサム・アルトマンCEOが来日し、岸田総理大臣に7つの提案をしたことも話題になった。そんな中、農林水産省はセキュリティリスクのない業務から利用していくことを決めた。他の各省庁や自治体でも利用が検討されている。大規模言語モデルの進化によって、怪しい人物の行動予測が可能になるなどの技術も注目されている。AIの進化は、医療、調理、自動運転など様々な分野に応用されていきそう。AIを頼り切ってしまうと考える力が衰えてしまうことが懸念される。目的を持って使い、AI本来の良さを活かしていくこと、長所と短所を理解した上で正しい倫理観を持って使うことが重要。