ザ・ノンフィクション 花火師になりたくて 僕と私が打ち上げる夢 前編
2026年6月、社長が紹介したのは新たな仲間。夢は花火師だという福田くんの前職は海上自衛隊の潜水艦乗り。危険なのは当たり前でも入社希望の若者は後を絶たない。入社2年目のよしきさんは高校を卒業後、服の縫製業やYouTuberを経て山崎煙火に入社した。よしきさんが作っているのは「星」と呼ばれる花火の色の素。星を詰めた玉は紙を貼っては干すことの繰り返し。丹精込めて作られた山崎煙火の花火は名のある競技会で数々の優勝を手にしてきた。よしきさんと同期の3人の新人は皆転職組。
全国の花火大会が重なる夏は花火屋さんにとって過酷な季節。朝から晩まで現場で過ごすハードさとその緊張感に最初の夏を越えられず辞めていった人も大勢いる。何者かになりたくて世界を旅したよしきさんが花火師を目指したのは彼女ができて「ちゃんとしないとな」と思ったからだという。
よしきさんを殊の外かわいがっていたのが佐々木さん。玉づくりから打ち上げの指揮までを背負う山崎煙火の司令塔。この日教わるのはある神社に伝わる伝統の仕掛け花火。本番当日、よしきさんはその仕込みにも抜擢された。鷲神社で待っていたのは「からかさ万灯」と呼ばれる巨大な傘。よしきさんはクレーンに乗って黙々と作業した。
いつも朝一番乗りの飯野さんは看護師の資格を持ちながらこの世界に飛び込んだものの、よしきさんのように人の懐に入っていけない自分にもどかしさを感じていた。
