新美の巨人たち 新美の巨人たち
葛飾北斎の肉筆の美人画「合鏡美人図」は後ろ向きの女が、合せ鏡をして曲げの様子や化粧を気にしている。うなじの白さや額の生え際、かんざしに巻き付く紙など細部まで丁寧に。その仕草に立ち上る色香。同時期に描かれた詠歌美人図は花魁が描かれているが、文机を前に思案する女の切ない心情。この美人図2点と、きょうの一枚を比較すると、両手に持った鏡や文机と置かれた紙などの小道具の存在が主人公の感情や心理を想像させる。ところがきょうの一枚は情報も感情もない、ただ、雪の中に花魁が立っているだけ。このシーンは全く虚構の世界だという。この雪中美人図には公開前の修理の過程で初めて明らかになったことがあった。裏彩色という献本の裏から色を施す日本画独特の技法で、奥行きのある発色や透けるような質感が特徴。普段はそこに裏打紙という和紙を貼っている。
