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オープニング映像。
葛飾北斎の雪中美人図を落札したのは小樽芸術村。2016年にステンドグラス美術館など4つの美術館を併設した複合文化施設。運河沿いの倉庫ビルを活用した村内5番目の浮世絵美術館が展示場所に決まった。落札からおよそ9カ月。公開までにどんなプロセスがあったのか?今年の1月20日は修理前のドライクリーニングで塵、ほこりの除去が行われた。2月18日は裏面処置という、裏打紙を除去する日。絵の裏側を剥がしていく。これこそが今回の大発見につながった。4月1日には新しい表具に仕立て直す。熟練の手さばきで行われた。きょうの一枚の葛飾北斎雪中美人図は縦99.5センチ横34.7センチ。献本に着色された肉筆だという。うっすらと名残の雪で積もっているが、濃紺に染め上げられた厚手の長羽織の高貴な装い。はらりと見える着物の柄の繊細。鮮烈な赤色の帯をすぎるとやや首をかしげた花魁の相貌。右手には半閉じの蛇の目傘を持って、左手は顎に添えるように。緩やかな曲線な立ち姿を描き、凛とした品と工夫がある。
高下駄にのせた素足の指先がちらりと覗き、無地の背景にちらほらと雪が降っている。誰かを待っているのか、見送っているのか、その感情は読めない。傘の左脇には前北斎戴斗とあったが、専門家はこの絵は画号変更しを50代前半の作品のものだという。この頃の北斎の美人画には着物の衣紋線に特徴があり、襦袢の襟や袖にチリチリとした震える線がみられる。後の方になるほどちりちりの度合いが強くなってくという。
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- 葛飾北斎[初代]雪中美人図 蜀山人賛
葛飾北斎は引っ越しと改名を幾度と繰り返し、浮世絵、美人画、風景画と絵も目まぐるしくジャンルを飛び越えていく。葛飾北斎は70歳以前に描いたものは実に取るに足りないものばかりと、天才ゆえの謙遜か、矜持を語っていた。
葛飾北斎の肉筆の美人画「合鏡美人図」は後ろ向きの女が、合せ鏡をして曲げの様子や化粧を気にしている。うなじの白さや額の生え際、かんざしに巻き付く紙など細部まで丁寧に。その仕草に立ち上る色香。同時期に描かれた詠歌美人図は花魁が描かれているが、文机を前に思案する女の切ない心情。この美人図2点と、きょうの一枚を比較すると、両手に持った鏡や文机と置かれた紙などの小道具の存在が主人公の感情や心理を想像させる。ところがきょうの一枚は情報も感情もない、ただ、雪の中に花魁が立っているだけ。このシーンは全く虚構の世界だという。この雪中美人図には公開前の修理の過程で初めて明らかになったことがあった。裏彩色という献本の裏から色を施す日本画独特の技法で、奥行きのある発色や透けるような質感が特徴。普段はそこに裏打紙という和紙を貼っている。
2月18日。文化財の修理を数多く手掛けている表具師の稲崎さんにとって、最も緊張する仕事は、完全な状況で裏彩色をみるために、裏に貼られた古くなった裏打ち紙を少しずつ剥がすこと。でんぷんのりで接着された和紙を水で湿らせてピンセットでミリ単位のうすさの本紙を傷つけずに取り除く。全て剥がし終えれば北斎の裏彩色が。胡粉の白は牡蠣の貝殻などから作られ、日本画には欠かせない。顔を描く際には胡粉に朱色を混ぜていく。まずは、献本に墨を入れた顔の部分を裏返して胡粉をまんべんなく塗っていく。北斎の裏彩色を知るためにその効果は絹は細かい折り目があり、この折り目の繊維そのものの透明性をいかすことで裏から塗った色が透けてみえる効果がある。花魁の顔に淡い奥行き。そして日本画家の向井さんが最も注目したのは花魁が持っている蛇の目傘。何の変哲もない蛇の目傘の裏に意外な色を施していた。
葛飾北斎の雪中美人図の表面は黒だが、日本画家の向井大祐さんが塗っていたのは蛇の目傘の裏側。えんじ色に塗っていた。実際に表側は黒だが、裏側がえんじ色。専門家は透ける効果を考えて表側を黒く塗ったという。向井さんは絵の中には随所に黒が使用されているが、その中で蛇の目傘の方だけ裏側にえんじ色を入れたのが他の黒との差別化になっていて、こだわった所に感じるという。雪の中花魁が立っている。北斎はこの虚構の情景に情熱と細工を施していた。
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- 葛飾北斎[初代]雪中美人図 蜀山人賛
葛飾北斎は晩年に向け北斎漫画を描き、風景版画の不朽の名作の富嶽三十六景の画号を画狂老人卍とした北斎は嘉永2年で死の床についた。あと10年、5年の命があれが本物の絵師になれると語っていた。
雪中美人図最後の秘密はいっぺんの賛が添えられている。江戸時代後期に活躍した天才狂歌師の大田南畝のものだという。
雪中美人図最後の秘密はいっぺんの賛が添えられている。この女のあたたかそうな白い肌は、雪の空さえも思いもしない美しい肌なのか。と書かれている。北斎が描いた当時のこの絵は、より雪の白が際立っていた可能性がある。
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新美の巨人たちの次回予告。
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