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富嶽三十六景は、葛飾北斎が70代で描いた代表作。各地の富士山をめぐる景色を紹介するシリーズもの。浮世絵の中ではメインジャンルではなかった風景画に目をつけたのは、当時老舗の板元だった西村屋与八。富嶽三十六景が出版された天保2年ごろは、富士講という山岳信仰が盛んだった。富士山の絵をメインで出したら、そうした人たちが買ってくれるという目算があったという。狙い通り、富嶽三十六景は大ヒットし、10点が追加された。西村屋与八は、葛飾北斎の才能を前から知っていて、作品にするタイミングを見計らっていたという。中には、大きな桶から富士山が覗いている作品もあり、変わり種があることで、購買層を飽きさせない狙いがあったという。
永楽屋東四郎は、北斎漫画を出版した版元。宝飾デザイナーのルイス・カムフォート・ティファニーは、北斎漫画からインスピレーションを得たモチーフの作品も残している。北斎漫画は、人物や風景など15編の絵手本で、約4000図を掲載している。北斎の死後も続く異例のロングセラーとなり、完結したのは亡くなってから29年目だった。葛飾北斎は、関西方面に旅行に行く道中、名古屋に立ち寄り、画人の牧墨僊の家に逗留し、意気投合した。半年ほど逗留し、300図ほどのスケッチを残した。それに目をつけたのが永楽屋東四郎だった。スケッチを元にして北斎漫画を出版した。すみだ北斎美術館では、北斎漫画のレプリカを手にとって鑑賞できるコーナーもある。