視点・論点 (視点・論点)
社会保障財源の第3の選択肢について考える。2024年6月に可決・成立した「改正子ども・子育て支援法」。その財源は3.6兆円が必要で、1兆円が「子ども・子育て支援金」という新たな財源調達手段でまかなわれる。これは、健康保険に上乗せして2026年度から徴収される。日本の社会保障の財源は社会保険料収入に加えて、公費によって支えられていて、その中で、もっとも重要な役割を果たしているのが消費税。財源を充実させるには、社会保険料の引き上げ、消費税率の引き上げが有力だとされるが、現実には課題があり困難を伴う。
消費税の引き上げは反発が大きく、その引き上げは政治的に不人気。消費税は上げられず、抵抗の少ない社会保険料の引き上げに政府は頼ってきたが限界がきている。第3の選択肢として「応能負担」を開拓すべきで、政府も保有する金融資産が多いほど、社会保険料、または窓口負担が多くなるような改革の検討に入っている。フランスは1991年に社会保障目的税を導入している。今後さらに増大すると見込まれる社会保障費をまかなうには、応能的な負担構造をもつ新たな社会保障目的税導入の検討が、日本の将来にとって重要な課題になる。