ワールドビジネスサテライト (ニュース)
8月の農業以外の分野で働く人の数は前の月から7万5000人増加するとの市場予想だったが、先ほど発表された雇用統計での結果は大幅に下回った。ニューヨークからの中継で、ニューヨーク支局の片渕茜が報告。8月の非農業部門の雇用者数は2万2000人の増加だった。失業率は4.3%と、前の月の4.2%から悪化。今後の物価の流れを見る上でも重要な平均時給は1年前から3.7%の上昇で、市場予想と一致。8月分の発表と合わせて、6月分と7月分の雇用者数が修正。7月分はやや上方修正された一方、6月分は1万4000人の増加から1万3000人の減少に下方修正された。マイナスとなったのはコロナ禍で混乱した2020年以来で、雇用の減速が一層鮮明になった。
アメリカ株、為替の値動きについて伝えた。長期金利が急降下。ニューヨーク株式相場は利下げ期待が高まって上昇して始まっているが、現在はまちまちの展開。為替は円高ドル安で反応。
今回の雇用統計は今月の利下げを占う意味で特に注目度が高かった。トランプ大統領の度重なる利下げの要請に対して、FRBのパウエル議長は「あくまで物価や雇用次第だ」と政治的圧力に屈しない姿勢を強調してきた。パウエル議長も労働市場が弱ければ利下げもあり得るという姿勢に傾く中で発表された雇用統計だった。市場の動きから利下げの確率を予測するCMEフェドウォッチを見ると、9月利下げの確率は100%。市場参加者は今月の利下げを完全に織り込んだ。そのうち12%は利下げ幅が通常の倍の0.5%と予想。さらに年内3回の利下げ確率が70%を超えた。今後、企業がトランプ関税による負担に耐えきれなくなると、雇用はさらに悪化する恐れがある。
