- 出演者
- 井上二郎 ちばてつや
漫画家のちばてつやは様々なヒット作品を生み出し、漫画界のレジェンドと呼ばれている。あしたのジョーではその周りの人々の人生も浮かんでくるという。
オープニング映像。
ちばてつやは自身の作品が時代が変化して気質が変わっても愛される作品になったことについてはこんなん長い間話題になるとは思わなかったと答え、嬉しいと語る。1968年に発表したあしたのジョーは主人公はドヤ街に流れ着き、ズルも悪さもしていたが才能を見込まれてボクシングへ。地域の人達に愛されてプロボクサーとしての道を歩みだした。ライバルの死を乗り越えて世界チャンピオンに挑む物語。その主人公の人物像についてちばてつやはうまく生きられない人間の人生だと語り、井上二郎は王道の主人公でもなくわがままだがなぜか応援したくなるというと、ちばてつやは自分も何を考えているのかわからなくなることがあったという。しかしそれは育ってきた環境が違ったりするのでそういう人の気持ちになりながら主人公がなにを考えているのかを見定めて描いていたというがその作業はキャラに日記をつけているようだと例えた。うまく生きられない人間も漫画の中では描いていて、減量に失敗し落ち込んだボクサーを違う世界の成功者として描いている。ちばてつやは挫折も1人の人間の個性だと語った。
ちばてつやは漫画の中で誰も見捨てようとはせずに救っていると言われると無意識でフォローしているのかもしれないと答えた。ちばてつやは1939年に東京で生まれた。家族は幼い頃に旧満州の奉天に移り住んだ。そこで迎えた昭和20年に戦争が終わると奉天の町で暴動が起こった。ちばさんは両親と三人の弟たちの逃避行が始まったという。その中で衰弱した人を見送ったりし、怪我をしていても担いではいけなかったと答えた。さらに倒れて死んでいる人もいてその死んだ人の物をボロボロになった靴や服をとっていたというが今思い出すとゾッとするという。その死生観への影響については人間は簡単に死んでしまう現場が多かったと語り、その考えが刷り込まれているという。しかしその反面どぶ水をすすったり過酷な状況の中でも人間はしぶといとも思ったという。逃避行の中で手を差し伸べてくれた人もいたという。父親の知り合いの中国人は自分に危険が及びかもしれないというときにちばさん家族を屋根裏に匿わせてくれた。
17歳で漫画家としてデビューしたがその後雑誌での連載を抱え漫画家としての地位を確立。日本は戦後復興を遂げて高度経済成長に湧き上がった。しかしちばさんはそれに違和感をおぼえることがあったという。浮かれて楽しい時代だったが戦争があったことを描かなきゃいけないと感じたと語り、その頃に戦闘機乗りや戦闘員がいかにかっこよいかというものが増えてきて戦争はかっこいいと思ってしまう子どもが増えるのでは?と描いたのが紫電改のタカ。主人公は戦闘機のパイロットで太平洋戦争で戦うパイロットに。主人公は夢を語るも、特攻隊になるというもので、ちばてつやは漫画である以上話的に面白くしなければという思いと戦争のリアルを入れる塩梅が難しかったという。
ちばてつやはあしたのジョーでも自らの戦争体験を向き合っていた。その漫画の中で戦争の中で兵士を殺してしまうシーンがあるが、ちばてつやは満州から引き上げの話はしたくないと言う。漫画は本来楽しいものであり、そういった体験をのせるものではないと考えていたが描いているうちにその世界を描いている事があるという。しかしそれに蓋をしてはいけないと考えていてるという。現在連載しているひねもすのたり日記にもちばてつやの体験が描かれている。人間の本質については自分がなにか伝えたいことがあり、人間がすごく頑張れるという気持ちをおくりたいという時にそういう話を作るがその時人間の本質を考えるという。それは助け合う力で皆が持っていると答えた。
エンディング映像。
