- 出演者
- 桑子真帆
初めて発表された南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意。その受け止め方には温度差があり混乱が広がった地域もある。対応にも差が出た。不確実性の情報を扱う難しさがあった。巨大地震に備えるために臨時情報はどうあるべきか検証する。
オープニング映像。
大きな地震が起こると気象庁から。1週間程度は同程度の地震に注意が呼びかけられる。今月8日の地震は南海トラフ地震の想定震源域で起きたため、気象庁から南海トラフ地震臨時情報 ・巨大地震注意が出された。初めての臨時情報に各地では混乱もみられた。
和歌山県白浜町、臨時情報が出されてから町内すべての海水浴場が閉鎖となった。かつてない判断をしたのは白浜町の大江康弘町長。1年で最も集客が見込めるお盆、この時期の閉鎖は地域経済に深刻な打撃を与える。それでも、あ巨大地震の発生から約5分で津波におそわれると想定されていることなどから人命を最優先した。観光業には深刻な影響が出ていた。海水浴場近くの老舗旅館では予約のキャンセルが殺到し対応に追われた。3日で489件のキャンセルが発生し、5000万円ほど売り上げが減る見通し。飲食店にも影響が出た。地元で人気のそば店では客足が激減した。巨大地震注意の臨時情報はどのような対応をとるのかは各自治体に委ねられた。他の地域では通常通り祭りなどが行われ、白浜町では海水浴場を再開してほしいという声が高まっていた。
道後温泉がある地域は海から離れていて津波想定域ではない。この地域の宿泊施設では耐震化が進められてきた。そのため、臨時情報が出た後も通常通りの営業を続けてきた。ところが、キャンセルが相次ぐホテルがあった。臨時情報は南海トラフ巨大地震が発生する可能性が普段と比べて高まったと評価されたときに気象庁が発表する。情報が出たときに自治体などがとるべき対応について、政府は2019年5月に国の防災計画に盛り込んだ。宮崎県沖で起きた地震は南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード7以上の地震だったため、基準を満たし発表に至った。内閣府は巨大地震への備えを確認してもうらための情報だったとしている。
海水浴場を閉鎖した和歌山県白浜町。臨時情報が出されて5日目、町の経済や観光客のことを考え臨時情報の呼びかけた終わる日に海水浴場の再開を決めた。15日に海水浴場が再開すると、避難経路を伝えるなど防災意識を持ってもらうように呼びかけた。先週、白浜町長は町の判断によって生じた経済的損失を支援してもらえないかと観光庁に要望を伝えた。
南海トラフ地震臨時情報の扱い方が自治体によって異なり、混乱が生じた。お盆とういう時期が重なったことでタイミングが悪かった、ガイドラインでも最悪のタイミング・場面を想定する必要があった、発信の仕方も課題があったという。南海トラフ地震臨時情報の巨大地震警戒はM8以上で1週間程度、事前に避難を呼びかけるというもの。今回の巨大地震注意はM8以上で1週間程度、日頃の備えを再確認、必要におうじて自主避難とされている。1週間というのは地震学ではなく行政的な判断とされている。今回の巨大地震注意で確認できたこと、避難場所・避難経路は5.5%、家族との待ち合わせ場所5.2%、家具の転倒防止8.1%、水や食料などの備蓄米19.7%。
内閣府は地方自治体とも議論をしながらガイドラインの改定を含めて検討をすすめたい、巨大地震注意という名称も含めて不断の見直しは重要だとしている。
南海トラフ巨大地震で全国で最も高い最大34mの津波が想定されている高知県黒潮町。地震発生から最短8分後に津波が到達すると予想されている。毎年、避難訓練を続けるなど地震に備えてきた町では今回、高齢者などに避難を呼びかけた。対象は人口の4割以上をしめる約4600人の高齢者、229人の要支援者には直接避難を促した。しかし、避難したのは町全体で7人だった。わずかながら避難した高齢者の受け入れ体制にも課題があった。事前避難では行政から食事の提供はなく自ら調達する必要がある。さらに、心身の負担もあった。黒潮町は避難した高齢者の声を受け止め、今後にどう生かすか検討していきたいとしている。
関谷直也さんは臨時情報については、事前に地域で住民とどういう対応をするか決めておくことが重要、それぞれの地域や企業でどう対応するの公表することも重要だという。今回の南海トラフ地震臨時情報のような呼びかけは北海道から三陸沖を震源とする地震でも出されるという運用がはじまっている。北海道・三陸沖後発地震注意情報という名称。