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遺伝子研究の最前線を取材。俳優・鈴木亮平協力のもと、DNA情報だけで顔を再現する試みなど紹介。
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オープニング映像。
技術革新によりDNAを解析するだけで、持ち主の顔まで再現できるようになっている。2009年にアメリカで起こった殺人事件は、この技術を使うことで、犯人逮捕にまでいたってる。事件を振り返り、トニー・マンクーソは「この新技術がなかったら、私たちは今でも殺人犯を捜していたと思います」と話す。顔解析の第一人者タン教授は「人の顔の再現は、DNAの2%の部分遺伝子の解析だけでは不可能でした。この先、さらに解析の精度を高めていけば、もっとそっくりの顔を再現できる」と話す。タン・クンさんは、人の顔を形作る情報が98%のDNAに眠っていることに気づいた。
今注目されているのが100歳を超える人達のDNA。109歳のリチャード・オバートンさんは、20代の頃から喫煙してきたが元気に暮らしている。英レスター大学が発表したのは「タバコから肺を守るDNA」。喫煙は通常、肺の病気による死亡率を3倍以上高めるが、このDNAには肺の炎症を抑える働きがあると考えられ、肺の病気のリスクを最大で80%下げていることがわかった。他にもがんやアルツハイマー病を抑えるDNAなどが見つかっている。
人体のDNAのうち、遺伝子に当たるのは全体の2%。残りは遺伝子を制御するコントローラーのような役割。国立スポーツ科学センターでは、日本のトップアスリート1200人分の遺伝情報を保管。その研究でわかったのは、カフェインの摂取でパフォーマンスが向上すること。
98%のDNA次第で「〇〇に良い」とされるものの効果に差が出ることがわかってきた。コーヒーを摂取すると、心臓に良い影響が出るという研究もあれば、悪いという研究もある。コーヒーに含まれる抗酸化物質は血管を若返らせ心臓を健康に保つと言われる。一方、コーヒーのカフェインには血管を収縮させ血圧を上げる効果がある。カフェインの分解能力を決めるDNAを調べたトロント大学・アーメド・エルソヘミーさんの研究で「すばやく分解できるDNAを持つ人」が46%いることがわかった。「すばやく分解できるDNAを持つ人」だけで1日あたりのコーヒーの量による心筋梗塞のリスクを調べると0杯と比べ2~3杯の人だとほぼ3分の1に減ることがわかった。
人体のDNAのうち、遺伝子に当たるのは全体の2%。残りは遺伝子を制御するコントローラーのような役割。遺伝子の情報をもとに身体の中であらゆる物質が作られる時、98%のほうが作る量やタイミングをコントロールしている。
インドネシアには代々、海の上で暮らしている「バジャウ」と呼ばれる民がいる。彼らは驚異の潜水能力の持ち主で、潜れる時間は10分以上で水深は70m以上。カリフォルニア大学のラスムス・ニールセンはトレジャーDNAが彼らの脾臓を大きくしていることがわかったという。脾臓は赤血球の貯蔵庫で体中へ酸素を送り出す。バジャウの脾臓の大きさを見ると陸上生活の人と比べて1.5倍大きいことがわかった。
チリ・アンデス地方。この地域に湧き出す水には猛毒のヒ素が多く含まれていて、この地域に数千年前に暮らしていた人の多くが若くしてヒ素中毒で亡くなっていたことが分かっている。ところが、今この地域に住んでいる人々はこの水に耐性がある。体内にヒ素を解毒する力を高めるDNAがあるためで、このことからも人間が様々な環境に適応する多様性を獲得してきたことが分かる。
アイスランド大学のカーリ・ステファンソンさんは、国民の半数以上のDNAのを集め、生まれる時に両親から半分ずつのDNAをもらうだけでなく、必ず70個の新たな突然変異を授かることがわかったという。
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- レイキャビク(アイスランド)山縣一夫
今、病気にならないDNA「ヒーローDNA」を探す研究が始まっている。ポルトガル・リスボンのパウラさんは、糖尿病にならないDNAの持ち主。パウラさんのDNAを参考に糖を貯め込む物質の働きを抑える薬が生まれた。スティーブン・フレンドさんは、HIVに感染してもエイズを発症しない人たちがいることが分かっている、私は本人さえ気づいていないスーパーヒーローを見つけたいと話す。
エンディング映像。