- 出演者
- 押尾駿吾
今年の元日に起きた能登半島地震からあすで1年。NHKが今月、東京大学・関谷直也教授の研究室と共同で石川・輪島市、珠洲市、穴水町、能登町の奥能登地域に建てられた仮設住宅の入居者を対象にアンケートを行い、297人から回答を得た。復旧・復興の進ちょくについて聞いたところ、「進んでいない」と回答した人が26%、「あまり進んでいない」が42%で、3分の2にあたる68%の人が復興を実感していないという結果になった。9月に能登地方を襲った豪雨災害が地震からの復興に影響しているか聞いたところ、「とても及ぼしている」が78%、「やや及ぼしている」が14%で、92%の人が復興に影響があったと回答。二重被災した現在の心境を複数回答で聞いたところ、「この先、奥能登地域がどうなってしまうか不安だ」が63%と最も多く、奥能登地域での生活に不安を抱く回答が多くなった。珠洲市の仮設住宅で暮らす男性は、アンケートに「今後奥能登地域では安全に暮らすことができないのではないか」と回答。
能登半島地震では、道路の寸断や大規模火災などで、消防の車両の移動に支障が出たことや、津波警報が出ている中で活動する必要に迫られたことが課題として指摘されている。これらを教訓に、総務省は来年度、今後の大地震に備え、消防の対応力の強化を図る方針。具体的には、大型車両が通行できないなど、地震発生直後の厳しい環境のもとでも人員や資機材を被災地に送ることができる機動力の高い小型車両を各地の消防に順次配備する方針。民間事業者と連携し、空中から消火作業が行えるドローンの開発を進めることにしていて、火災への対応にあたる消防隊員の安全確保にもつなげたいとしている。消防団員らがドローンの操縦などデジタル技術の活用法を学ぶ講習や消防車両を運転するための免許を取得する支援なども進めていくことにしている。総務省のホームページ、総務省消防庁提供の映像。
肺の感染症などの原因になる細菌「緑膿菌」は、免疫の低下した人に感染すると慢性的な肺感染症や敗血症などを起こす細菌で、抗菌薬が効きにくい「耐性菌」が存在するため、対策が課題となっている。この菌は「バイオフィルム」と呼ばれる密集した塊になり、酸素が不足した状態になると活動が不活発になるとともに、薬への耐性を持つことが知られていたが、どの程度活動が低下すると耐性を獲得するのかは詳しく分かっていなかった。日本の物質材料研究機構や米国・カリフォルニア工科大学の研究チームが、緑膿菌がエネルギーを消費する際の微弱な電気の変化を精密に計測できる装置を開発し、細菌の活動レベルを詳しく評価することに成功したと発表した。「バイオフィルム」の状態を再現するため、窒素ガスで満たした装置の中で緑膿菌の活動レベルを調べたところ、エネルギーの消費が通常の1000分の1以下となり、生命活動の大部分が止まっていることが分かった。この状態では活動している細菌に作用する多くの抗菌薬が効かなくなっていた一方で、細菌の周りにある「細胞膜」に作用するタイプの抗菌薬は効果を示したという。抗菌薬が効かない「耐性菌」への対策は世界的な課題になっていて、物質材料研究機構・岡本章玄グループリーダーは「細菌がどのような状態になると抗菌薬が効かなくなるのか詳しく調べられるようになることで、新しい抗菌薬開発の方向性が見えてくるのではないか」と話している。
全国の気象情報を伝えた。