2024年12月26日放送 22:45 - 23:30 NHK総合

フェイク・バスターズ
2024

出演者
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(オープニング)
オープニング

オープニング映像。何を信じていいか、分からない時代。一方、根拠が不確かな情報も拡散。2024年、大きなニュースのたびに拡散された“フェイク”。膨大な情報から、私たちは何を信じればいいのか。フェイクに翻弄された2024年を振り返る。

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「何を信じればいいのか…」“フェイク”と振り返る2024

スタジオ出演者たちが“フェイクニュース”に振り回された2024年を振り返って語り合った。平野啓一郎さんはアメリカ大統領選挙でAIを使った偽画像が拡散されたと紹介。政府の有識者メンバーでもある慶応大学の山本教授は注目を集めることが利益に繋がるアテンション・エコノミーに支配されていると指摘。心理学者の久保南海子さんは自分が正しいと思う情報を無意識に集めているなどと語り、進行役の宇野常寛さんは「自分で作ったごはんは美味しく感じる錯覚」と例えた。

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アテンション・エコノミーアメリカ合衆国大統領選挙ドナルド・ジョン・トランプ人工知能
(“情報”に翻弄された2024)
スタジオトーク

新型ワクチンをめぐる偽情報の拡散についてスタジオトーク。平野啓一郎さんは政府が公式にワクチンの安全性を発表した際に疑うこと自体を必ずしも否定できない、山本龍彦さんは憲法23条で学問の自由が保障されており専門家の倫理が問われている、久保南海子さんは断定せず可能性を検証するのが科学、宇野常寛さんは「わからない」に耐えられなくなっているなどと語った。

在日クルド人をめぐって

9月下旬にXに真偽不明な情報が投稿された。100円ショップで撮影されたとみられる3秒の動画にはクルド人の子どもが平気でよく万引きしているのをみかけるというもので、その子どもの映像が映っていた。動画に映っていた少女の姉は、万引きは事実無根で誰かが勝手に隠し撮りしたものだという。番組が100円ショップに取材する万引き被害の事実は確認していないという。埼玉県川口市は多国籍タウン。動画を投稿された少女は4歳で両親は14年前にトルコから来日。上の子どもは日本の学校に通っている。動画を撮影された日に母は近所の100円ショップに買い物にいっていたという。姉は万引きを否定するコメントを書き込んだ。しかし動画は多くの人にリポストされ次々に拡散された。少女や両親を批判するコメントが相次いで書き込まれた。日本に住むクルド人全体に攻撃的な書き込みもある。数日後この動画を登校したアカウントはXにアカウントを凍結されていたという。しかしこの時の閲覧数の合計は2000万回以上だという。

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X川口市(埼玉)

川口市によると市内に住むトルコ国籍の人は1000人あまり。一方で、在留資格がない収監施設の収容の仮放免中の人は700人あまり。その多くの人がクルド人。この街で20年以上タクシー運転手をしている男性はクルド人によるトラブルを見聞きするようになった。クルド、川口を含むXの投稿サイトでこの言葉が急増したのは去年7月。クルド人同士の揉め事をきっかけに市内の病院周辺で騒動が発生し病院は救急車の受け入れは一時停止に。それ以降クルド人の批判的な投稿が急増し、その中で誤情報や偽の画像もたくさん投稿されるように。批判はクルド人を支援する日本人にも。この1年半の間に脅迫のメールや電話が100件以上あった。団体は警察に被害届を提出。脅迫してきた人物は書類送検された。示談が成立後本人と面会したが、普通の人だったという。こうした脅迫メールはネットの情報をみたからであり、団体の代表はこうした情報を常にみていることで皆がそう言っているから言ってもいいとハードルが下がってきていると語る。

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X川口市川口市(埼玉)
スタジオトーク

宇野常寛は過激な意見がフェイクなのにこうして拡散されると議論のベースそのものができなくなってきていると答えた。平野啓一郎はかつて批判されてきた在日の人たちに向けられてきたものとほとんど一緒だという。動画を撮影した人はクルド人に向かっていい感情をもっていないと答え、地元の人間はこんなに迷惑していると発信し、それを鵜呑みにして皆が信じて拡散されてしまったのではと答えた。

広がるSNS規制の議論

7月29日、イギリス中部で17歳の少年が人々を刺し、3人を死に至らしめた。SNSでは「襲撃者はイスラム教徒の移民」、「亡命希望者」などの情報が拡散したが、少年はイギリス生まれ。8月1日、容疑者の名前が公表されたが、移民排斥を訴える暴動が巻き起こり、1700人以上が逮捕された。SNSのオススメ機能により、フェイク情報で犯人とされたイスラム教徒の名前がオススメ上位に表示されてしまったのが、遠因とみられている。

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戦略対話研究所
スタジオトーク

憲法学者の山本龍彦教授によると、ユーザー自身が獲得した情報かと思いきや、SNSのアルゴリズムによって提供されたものだったりするという。ブラジルでは偽情報の規制に応じなかったとして、最高裁判所がXのサービスを一時停止した。オーストラリアでは16歳未満のSNSの利用を禁止する法案が可決した。平野啓一郎氏は強権的なSNS規制には反対で、「言論活動を息苦しくしている」と話す。山本教授はSNS事業者の収益化構造を揺さぶることで、健全化への道を歩めると考えている。

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Xオーストラリアブラジル
フェイク対策への「逆風」

次期大統領のドナルド・トランプ氏は9月のテレビ討論会で、「移民が犬・猫を食べている」と発言。メディアによるファクトチェックにより、根拠のない情報と確認されたが、一部のインフルエンサー、イーロン・マスク氏はトランプ氏の発言を首肯。元々、トランプ氏のSNSのアカウントは永久停止されていたが、マスク氏のもと、復活を果たした。トランプ氏は新組織のトップにマスク氏を任命。ボストン大学のドノバン教授はフェイク情報の監視、分析を行ってきたなか、政治的な圧力を感じ、「もはやSNSは一般ユーザーのためではなく、政治的な道具になっている」と語った。

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Xアメリカ合衆国大統領選挙イーロン・マスクジム・ジョーダンドナルド・ジョン・トランプボストン大学
スタジオトーク

アメリカでは国家とSNS事業者が結託したかのような様相を呈している。山本教授は自由放任的な情報空間が民主主義・言論空間に資するのか疑問を呈した。平野氏は「言論の自由を守らなければならないのなら、”公共の福祉に反しない限り”という条件のもとで」と語った。

(エンディング)
2025年 “情報”とどう向き合う

山本教授は「メディアの情報は何故、安全なのか、信頼できるのかということの説明が十分にできていない」、「メディアにはプラットフォーム企業に監視の目を向けるという新たな役割も生まれている」などと語った。久保南海子氏は教育の現場ではメディアリテラシーが進むなか、使っているSNSがどのようなビジネスモデル、どうやって成り立っているのか教えられていないと感じるという。

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