- 出演者
- 小泉孝太郎
職人たちはこれまでも様々な依頼を受けてきた。まずは、ギリシャのディミトラさんからの依頼。歩行器なしでは生活ができなく、扉とれて引き出しにくいタンスを直してほしいモノとのこと。修理するのは家具職人の南宣明さん。南さんは設計図をかいて、作業に取り掛かる。そしてなんと、引き出し部分を分解し始めた。捨てずに再利用するのが南さんのモットー。引き出しの板を組み替えて、段違いの形に。そして、引き出しの板をタンスの真ん中の高さに付け替えた。低い位置にあった引き出しを、タンスの中断に修理。さらに、タンスの下に空いた大きな空間は歩行器の収納スペースになるだけではなく、棚を取り付けて小物置きに。さらに、タンスを楽に開閉できるようにワンタッチ式の扉に変えていた。
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- ギリシャ
ぜひ直してほしいと案内されたのは、スペイン・カルバハル宮殿。直してほしいモノは、100年以上前の棚。側面には木の板で装飾が施されているが、剥がれ落ちている。板の厚さはわずか1mm。家具職人の鈴木さんで、修復に必要なのは厚さ1ミリの板だが、お目当ての板が見つからない。材料がなければ作るというのが、職人の仕事。カンナクズを並べてテープで固定し、木工用ボンドを塗って、半乾きのまま貼り合わせて2枚重ねて接着させて1mmの板を作り出す。独特な棚の色を再現するため、黒の染料を染み込ませて、赤や黄色を塗る。そしてニスで仕上げる。模様が離れていた100年前の棚がキレイに蘇った。
ハンガリー・ホッローケーから依頼があった。修復してほしいのもは、腐った柱と土台部分。宮大工の菊池さんが取り掛かったのは、土台部分。長さが9mあるが、用意できた木材は4mほどだった。菊池さんは、追っかけ継ぎで3本の木を組み合わせて9mにするという。土台部分を完成させた。続いて柱部分。この柱腐っている面積が広範囲になっている。根継ぎとは、腐った部分を取り除き、新しい材料で継ぎ足すこと。どんな状況でも使える木は残すことが、日本の宮大工。徐々に複雑な形に。そして、新しい木も削り、一本の柱に組み合わせていく。木組の中で一番強度と言われ、柱などの修理に使用される金輪継ぎが使われた。空洞には、切り落とした柱をカットして空洞に通した。角度のついた空洞に木材をはめこみ、木材がより密着する仕組みとのこと。これで金輪継ぎの完成。この柱を土台にはめこみ、柱や土台を宮大工の技術で復活させた。さらに、装飾部分も完全再現させた。
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- ホッローケー(ハンガリー)
オープニング映像。
エジプトは壮大な歴史をほこる国。三大ピラミッドで有名なギザは過酷な現場だった。アブシール村はピラミッドに近い砂漠に面した村。信号がない村は大渋滞。路地をすすみ依頼人のもとへ到着。オマルさんに案内されたのは子どもたちは文字の読み書きを教える場。150人の子どもが通う学びやは1クラス20名。メイン教室は私財で運営しているので困っているという。テーブルがないので文字を書く練習ができない。3歳から15歳の子が授業をうけているので皆がつかえる机は難しいのだ。1日5回お祈りをするためにそのスペースも必要。また黒板がかきにくく消えない。さらに深刻な問題は停電になると暗くなることだ。計画停電でライトや扇風機がとまる。湿気も高くサウナ状態。最大の依頼は滑り台。子どもたちの遊び場だが、怪我が多く危ない滑り台だ。階段もぼろぼろでスキマだらけ。廃材をリサイクルして作ったものだという。安全な滑り台になるといいとオマルさんはいう。
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- アブシール村(エジプト)ギザ(エジプト)
危険すぎる滑り台の修理に矢谷が挑む。遊具をチェックしすべてを作り直す必要があるため、遊具を解体する。気温は40℃をこえる暑さにくわえ、ホコリや砂が矢谷を襲う。懸命に作業をすすめて解体完了。木材店へ買い出しにいくが売っているのは段ボールや木のチップを固めたもの。木材はほとんど輸入品。建物はレンガや石造りで木材の質が日本と違う。15センチ角がほしかったが9センチ角を買った。骨組みをつくる。階段のベースとなる骨組みをつくる。太い木材が必要だが太さが足りない。細い木材で頑丈な骨組みをつくり階段を作り、階段の上の天板をはる。階段の手すりや柱などに三角形をつくり力を分散させ、補強をしていく。滑り台は熱くならないよう施し、屋根をつける。植物園でヤシの葉を持って帰って屋根にした。朽ちた滑り台が美しく大変身。
職人歴22年、奈良でプロの職人に伝統儀十を教える講師も務める左官職人の中村斗茂栄さんが、教室を修理する。中村さんは、日本の多くの建築の壁で使用され、調湿・消臭効果がある「石灰」を使うことに挑戦。しかし、購入した石灰は質の悪いものだった。石灰をふるいにかけて粒を小さくし、壁に塗っていく。壁の色は、教室を明るくするために海をイメージした青色にした。
様々な建物の補修を行うリペア職人の大門康二さんが、使いにくい黒板の加工をする。大門さんは、真っ黒な黒板に日本と同じ緑色の顔料を塗布して修理をした。
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- 安藤忠雄
人気の家具職人で、神社仏閣の修復の経験もある川原敏幸さんが、机を作る。まず、川原さんは子どもたちの身体測定を始めた。
川原敏幸さんは、子どもたちの身体測定をし、その平均値をとった。エジプトには日本にあるような木材がないため、パーチ(木材の欠片やチップを接着剤で固めた板)を購入したが、耐久性が足りないことが課題だった。しかし、川原さんは元宮大工の経験を活かし、板同士を組み合わせて机を作っていった。作業後、依頼人のオマルさんが、職人たちを自宅に招き食事を御馳走した。そして、オマルさんは、作業を手伝いたいという子どもの父親たちを紹介した。
教室の修理が終わり、お披露目の日を迎えた。暗く暑い教室は、明るく涼しげな青色の壁となった。黒板は、目に優しい緑色に染められ、チョークの書き味も良くなった。また、黒板の横には、余った端材で作ったチョーク置きが設置された。そして、川原さんが作ったのは収納棚にもなる机。この学校の生徒は年齢層が広いため、どんな年代の子でも使えるよう変形できる机にしたという。生まれ変わった教室に、教師・子どもたちはとても喜んでいた。
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- エジプト
次に向かったのはジョージア。ヨーロッパとアジアが交差するジョージアの田舎町「セナキ」で、職人たちは倒壊寸前の温泉施設の修理を依頼された。ジョージアは2000以上の源泉がある温泉大国で、この温泉もかつては多くの療養者が集うほどだった。しかし、1991年のソ連崩壊により国の支援が途絶え、温泉施設が廃墟となり、老朽化でお湯がたまらなくなってしまった。建物自体が崩壊寸前のため、職人たちは一旦返事を迷ったが、修理を決意した。
左官職人の中村斗茂栄さんは、施設のブロックを浴槽に加工した。岩風呂をイメージしたが、この地域には本物の岩がない。そこで、リペア職人の中田周作さんの助けを借りながら、模造の岩石を作ることにした。途中、雨が降るが、少しでも早く完成させるため、塗料の水分量を調整するなど工夫をしながら作業を続行し、岩風呂が完成した。
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- 奈良県
宮大工の矢谷勇樹さんは、屋根付き露天風呂を作ろうと考えたが、電気が通っていないため電動工具が使えないという問題に直面。そこで、鉋の前に使われていた「ちょうな」という道具を使い、手作業で木を削っていく。また、水平性の確認は、水盛管を使って行なっていった。
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- ジョージア
職人たちは、電気を使わない日本古来の道具や技術を使いながら、外壁の凸凹に合わせて階段を作っていった。
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- ジョージア
家具職人の川原敏幸さんは、プライバシーが守られ、更に景色がよく見える窓を作る。途中、依頼者からジョージアの国民食「ハチャプリ(チーズがたっぷり入った厚めのピザ生地のようなパン)」の差し入れがあった。
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- ハチャプリ
外の浴槽に温泉を入れるため、職人たちは源泉にパイプを設置し、湧く位置を高くした。これは「サイフォンの原理」で、水の入った管を利用して高い位置から低い位置へ移動させるというもの。果たして、水は流れるのか。
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- サイフォンの原理
源泉の湯は、ホースを通り浴槽へ流れた。これにより、岩風呂風の露天風呂が完成した。
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- ジョージア