2024年4月29日放送 5:10 - 5:34 NHK総合

作家・桐野夏生の世界
〜ドラマ「燕は戻ってこない」の魅力〜[字]

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(オープニング)
オープニング

作家・桐野夏生は現代社会に生きる女性の苦悩や葛藤、それを打ち破ろうとする姿を描き続けている。2つの文学賞に輝いた話題作「燕は戻ってこない」。生殖医療の光と影を描き大きな反響を呼んだ。この小説をドラマ10で映像化した。桐野夏生は現代社会に何を見ているのか、ドラマを彩るキャストたち、脚本を手掛ける長田育恵のインタビューで桐野ワールドとドラマ「燕は戻ってこない」の魅力を紹介する。

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(作家・桐野夏生の世界)
〜ドラマ「燕は戻ってこない」の魅力〜

ドラマ10「燕は戻ってこない」は代理出産がテーマ。代理出産は日本産科婦人科学会のガイドラインでは認められていないがこれを規制する法律はない。桐野夏生なぜ代理出産を描こうと思ったのか。桐野は「生身の人間をお金で、生殖機能を買うことが倫理的に許されるのかなっていうことがまず1つ。女性が貧困の状況に置かれたら代理母にならないかっていう要請はあり得ると思って、そういう設定でやってみようかなと思ったのがきっかけ」と話した。貧困女性・リキを演じる石橋静河は「女性の貧困や女性蔑視が描かれているので、自分の周りの女性たちの顔も浮かんでくる。それぞれの生きづらさや叫びが詰め込まれている」と話した。桐野はリキについて「怒っている。なんとか自分の力で打開できないか選択をしていく」と話した。

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ドラマで脚本を担当するのは連続テレビ小説「らんまん」を手がけた長田育恵。ドラマ「燕は戻ってこない」を企画したプロデューサー板垣麻衣子とドラマや桐野作品について語る。板垣は「桐野さんの作品は今まで言葉にしてこなかった感情に言葉をつけてくれる」、長田は「『グロテスク』の心理描写は緻密に描かれていて、細部に宿っているリアリティが全て共感できる」などと桐野小説の魅力について語った。

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これまで桐野は過酷な現実に向き合う女性の悩みや痛みを深い洞察力とリアリズムで描写してきた。桐野は「女性の方が生きづらさを感じていると思っている。そういう人を書いてみたい。今まで考えたことのない問題に直面する人間が面白いんだと思う」と話した。桐野作品の主人公は社会の規範や道徳を打ち破る、読者の予想を超える。桐野は「いつも一線を超える人を書こうと思っている」と話した。

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長田育恵は「リキの原動力は常に抗いがたいという感情。物語の最初のリキは貧困の中にいて、ほんのちょこっとだけお金をもらって、あと少しだけ安心して暮らしたいと思っている。でも、その願いが、例えば絶対的な安らぎは手に入るが檻の中で生きるかということを突きつけられ始めると、そんなものはいらないだったら業火に焼かれてでも魂の自由を取るっていう」と話した。

稲垣吾郎は自身の役について「真っ直ぐな人間。でもちょっと空気が読めず人を傷つけてしまう。だからこそ世界で認められるバレエダンサーになれたのかな。この人物は自分の遺伝子を残したいという思いがすごい」などと話した。内田有紀は「視聴者が観る悠子像は一番苦しい状態から始まる。その中で生きている悠子がどう変わって、どう自分を構築していくのか」などと話した。桐野夏生は「分からない問題に対して選択して選んでいく、一線を超える人たちが見る景色をより想像していきたい」と話した。

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黒木瞳

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