2024年12月15日放送 8:00 - 8:25 NHK総合

小さな旅
「風と生きる 〜広島県大崎上島〜」

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オープニング

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大崎上島(広島)
(小さな旅)
風と生きる 〜広島県大崎上島〜

広島県の大崎上島は6700人あまりが暮らしている。広島市から2時間、渡る手段は船だけだという。港のすぐ近くには風待ちの広場を書かれた看板が掲げられ、地元民が集まっていた。かつて大崎上島は風町の島と船乗り達から呼ばれていた。穏やかな風と優しい日差しに今も昔に包まれている。町に入ると岡本康史さんの姿が。島にただ一つ残る醤油蔵の三代目で山田はその製造現場へ。岡本さんの自慢は、醤油を製造する桶は今では珍しい杉の木桶で、中には100年を超えるものもあるという。醤油に使用するのは、大豆、小麦、塩のみで弟の哲也さんと一緒に昔ながらの醤油づくりを行う。島の醤油づくりには流れてくる風が欠かせず、蔵の扉は1日中開けっ放しに。風は、木桶にすみついた酵母や乳酸菌が活発になり風味を豊かにしてくれる。

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大崎上島(広島)

桶をかき混ぜるのは3日に一度で、あとは風におまかせ。仕上がるまでは最低1年は熟成させる。岡本さんは元々蔵を継ぐ気はなかったが、その転機は大学進学。初めて島の外の醤油を口にしたが、地元で作られた醤油が当たり前のものでないとその価値に気づき継ぐことにした。父は出来にこだわり、蔵に寝泊まりするのもたびたびだった。その父は3年前に他界し、父の醤油づくりは弟の哲也さんと二人三脚。寝ても覚めても醤油のことを考えていた姿に自らを重ね合わせる日々だという。

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大崎上島(広島)岡本義弘

島の山を超えると、レモン栽培をしている農家の姿が。黄色く熟す前のグリーンレモンは香りが豊かなこの季節だけのとっておき。中原幸太さんは島で60年続く果樹園の三代目。斜面の畑ならではに、穏やかな風が湿度を適度に保ってレモンを育ててくれるという。大崎上島は別名柑橘の島で、全国でも有数のレモンの産地。中原さんは、大学卒業後に農協に就職し、目にしたのは農家の高齢化と担い手不足だった。そこで農協をやめて果樹栽培に専念し、引退した農家の畑も引き受けて島の農業を守ろうとしている。この日向かったのは、幼馴染の元。今年始めたというビール造りにレモンを活かしてもらおうと考えた。生まれ育った島のレモンを多くの人に知ってほしいと作られたビールは、グリーンレモンの爽やかな香りがビールのアクセントに。評判も上々だという。

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レモン大崎上島(広島)岡本義弘

朝8時に島の中心部に人だかりがあった。旬の魚が並んでいるが売るのは地元漁師たちで人気の朝市。中村修司さんは島の魚をもっと食べてほしいと始めた。この日向かったのは港から30分の沖合。中村さんはこの道40年で気にかかるのは風。刻々と変わる向きと強さを捉えるのが腕の見せどころ。風の読みと網を仕掛けるポイントが見事的中し豊漁となった。中村さんは元々島の役場職員だったが、漁を始めたのは29歳の頃、きっかけは漁師だった父にガンが見つかったことだった。風の読み方もわからず失敗の連続だったが、さらに追い打ちをかけたのは、海苔の加工場を始めた父が残した莫大な借金。四人の子どもを抱え、妻の雅子さんと朝から晩まで働き詰めの毎日だった。長男の守幸さんは、父と同じ漁師の道を選んだ。

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大崎上島(広島)
(エンディング)
エンディング

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