2025年11月14日放送 22:00 - 22:45 NHK総合

総合診療医ドクターG NEXT
(5)「父がまるで別人になった」

出演者
藤井隆 赤木野々花 陣内孝則 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(総合診療医ドクターG NEXT)
70代 父の異変 いったい何が?

2年前に脳梗塞を患い、左半身に麻痺が残る76歳の五十嵐和男さん。それでも医学療法士の先生と楽しくリハビリに励んだり、介護ヘルパーさんのおかげで病気と向き合い日々を明るく過ごしている。新しく趣味で始めた麻雀にも足繁く通っている。ところが3週間前、娘の朋子さんが自宅を尋ねると室内は煙たく、キッチンではお鍋に火がかかったまま中身は真っ黒に焦げていた。その時は、父のうっかりかと思ったがそこから様子がおかしいという。口数が減り日中もただぼーっとしているばかり、急に老け込んでしまいまるで別人になったようだった。

病名を突き止めろ!

葛西医院院長・小林正宜医師が登場。大阪の下町にある診療所で、町のかかりつけ医として三代目院長を務めている。外来患者の診察はもちろん、診療所に通えない患者のために訪問診療も行っている。日々の病態に変化はないか、患者を介護するヘルパーや医学療法士・訪問介護士たちと情報を共有するツールによって常に患者の状況を把握する。「病気を診るのではなく人を診る」。

一緒に病名を解き明かしていく研修医、松田そら、森山暁平、永野心が紹介された。ここから病名を探るためのVTRが流れ、「まるで別人になった父親」に潜む病気を突き止める。

情報を共有

2前前に脳梗塞を起こした五十嵐和男さん。それ以降は元気だったが、最近は傾眠傾向にあるとヘルパーの元野さんは話す。以前と比べ気力が抜けてしまったように感じられる。これまではテレビを見たり新聞を読んだりして、世間話も多くしていたとのこと。水分補給に渡したお茶を「ぬるい、いつもと違う」と言う和男さん、しかしポットのお湯の温度はいつもと変わっていない。さらにクーラーの設定はいつもなら28度の自動設定でちょうど良かったが、この日は30度の設定になっていた。

ヘルパーの元野さんによると、3週間前から和男さんの様子が変わったと報告があった。理学療法士の斉藤さんに運動機能について聞くと、以前は楽しそうに張り切ってリハビリをしていたが、ここ最近はやる気がなくなったように見受けられた。脳梗塞で麻痺した左半身については、悪くなった様子はなく右半身は順調に使えている様子で問題はないが、体重が3kg減っていたことが気になるとのこと。

娘の朋子さんに、2人から共有された情報について聞くと。父がまるで別人になったようだと話す。思い当たることとして、2週間前に一緒に買い物に行った際、偶然会った知り合いの名前が出て来なかったり、好物のすき焼きも手を付けずぼーっとしている様子だった。この3週間は、肉や魚は食べていないかもしれないと話した。

父がまるで別人に 病名を突き止めろ!

VTRと和男さんの基礎データを元に病名を考える。研修医たちと、藤井・陣内が解答。陣内は解答について、実際に母親がかかった病の症状に似ていたと話した。研修医たちは、それぞれウェルニッケ脳症、慢性硬膜下血腫と解答した。和男さんには、記憶障害、傾眠傾向など認知機能の低下を思わせる症状が現れていたが、和男さんは認知症なのか。

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ウェルニッケ脳症慢性硬膜下血腫
父がまるで別人に 認知症なのか?

認知症になったかのように思える症状の和男さん。認知症を調べる方法として一般的に用いられているのが「長谷川式認知症スケール」。スタジオでもこれを用いて質問に答えていた。30点満点中20点以下で認知症の可能性があると言われている。厚生労働省の発表によると、2022年の時点で65歳以上の認知症患者の数は約443万人と報告されている。初期認知症MCIの患者数は558万人にのぼるとのこと。早期の段階で発見され、新薬を服用することが大切だという。

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ウェルニッケ脳症厚生労働省慢性硬膜下血腫特発性正常圧水頭症甲状腺機能低下症肝性脳症認知症
父がまるで別人に 身体診察は?

病気を見極めるため往診の時にどのような診察をしていくか、研修医たちが解答していく。「ウェルニッケ脳症」は、眼球の運動障害の確認。「慢性硬膜下血腫」では、新たな麻痺の確認など、それぞれ必要な診察があがっていた。

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ウェルニッケ脳症慢性硬膜下血腫特発性正常圧水頭症甲状腺機能低下症肝性脳症
父がまるで別人に 身体診察

病名を絞り込むため、和男さんの家に往診に行った。「最近運動をしているか」の問いにはしていないと話し。「歳はいくつになった?」「今年は何年?」などの質問をしたが、正しく解答することはできなかった。深部腱反射は亢進異常あり、足のむくみはなし、頭部外傷もなし。眼球運動障害の診察は異常なし、羽ばたき振戦も異常なしだった。

父がまるで別人に 家族からの情報

診察を終え、家族からの話しを聞くことに。1週間前、尿失禁がありお尻に青痣があったとのこと。この痣については、1ヶ月前孫のサッカーを観に行った際に、帰り道で尻もちをついたことが原因なのではと孫が話した。身体診察によって5つの病名の内、3つの可能性は低くなった。残るは「慢性硬膜下血腫」と「特発性正常圧水頭症」。

キーワード
慢性硬膜下血腫特発性正常圧水頭症
慢性硬膜下血腫か 特発性正常圧水頭症か

VTRを見て、改めて病名を研修医たちが検討。研修医たちは3人とも「慢性硬膜下血腫」と解答した。和男さんに出ている、認知症状・歩行障害・尿失禁・腱反射の亢進は「慢性硬膜下血腫」「特発性正常圧水頭症」のいずれにも当てはまっている。この2つの病名を分けられる診察について、慢性硬膜下血腫なら脳の中でおきている出血に左右差があり、特発性正常圧水頭症なら左右差がない。訪問診療で判断するために、ドクターGは「聴性打診」を行った。左右差があったが診断をつけるためには、頭のCT検査が必要だという。その結果、CT画像にははっきりと出血によって脳が押されている様子が写っていた。最終診断は「慢性硬膜下血腫」。陣内は最初から正解を出していた。

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慢性硬膜下血腫特発性正常圧水頭症
スタジオトーク

小林正宜医師から、研修医へメッセージ。きょう扱ったテーマとして、治療可能な認知症を呈する症状の方だった。その一方で治療が難しい患者が90%いる、皆さんにはその方々にもその人なりの人生というものをしっかり考えてもらいたい。社会的に弱い立場の方々を守れるような医療者になってほしいと話した。研修医たちも、それぞれきょうのテーマから学びを得ている様子だった。

(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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