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オープニング映像。
映画史・時代劇研究家の春日太一氏が『SHOGUN 将軍』に見る時代劇の現状と可能性について話す。ハリウッドが制作した配信ドラマ『SHOGUN 将軍』はエミー賞で18部門を受賞、ゴールデングローブ賞のテレビ部門でも4部門を受賞した。『SHOGUN 将軍』では真田広之さんを始めキャスティングの多くを日本人が占め、ハリウッド作品では珍しく日本人同士の会話はすべて日本語が使われた。今作の成功要因として大きな役割を果たした真田広之さんは主演だけでなくプロデューサーにも名を連ね、作品の内容やクオリティのあり方についてハリウッド側に強く意見を伝えるなどした。それが許される発言力をハリウッドで得るのは並大抵のことではなく、日本人俳優では真田さんが初めて成し遂げた偉業。
真田さんは2003年の映画『ラストサムライ』以降、活動拠点をハリウッドに移した。時代劇スターとして頂点に立っていた真田さんだが、ハリウッドに映ってからは1からオーディションを受けて小さな役や悪役でも出続けた。同じく『ラストサムライ』をきっかけにハリウッド進出した渡辺謙さんが次々と大役を得ていったのに比べ、真田さんのキャリアは地味なものだった。それでも折れずにアメリカで新たなキャリアを約20年積み重ねながら人脈を広げ、信頼とリスペクトを勝ち得て『SHOGUN 将軍』にたどり着いた。『SHOGUN 将軍』の高評価は時代劇業界の起爆剤としての期待もある。ただ、日本は映画もテレビも製作現場の最前線に資金が直接的に流れ込みにくい構造にある。今回の偉業を今後につなげるためにも業界全体が大きく意識と構造を変える必要がある。
エンディング映像。