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宮城県亘理町、東日本大震災の津波で306人が犠牲になったという。震災で妻を亡くした小野好信さん。奥さんと最後に交わした言葉は当日の朝のほんの短いものだったという。自宅に戻った際に被災したと見られる奥さん、指輪から身元がわかった奥さんの遺体は眠るようだったという。33年前に結婚した小野さん夫妻、好信さんは奥さんのことを「とにかく一生懸命だった」と語る。小野さんの取材を始めたのは震災から半年後の2011年9月、まだ小野さんは親戚の家に避難していた。そんなある日、娘の望美さんのランドセルを買った際に届く手紙が届けられた。そこには望美さんだけでなく、長女の好美さんに宛てられたものも同封されていた。その手紙は奥さんの分まで子育てをという好信さんの気持ちをより強くさせた。
好信さんは今も奥さんからの手紙を大切に保管しているという。お子さんたちが自立した際に渡す予定だったが、渡すことで奥さんが離れてしまうような気がするのだという気持ちがあるのだという。小野さんの長女である好美さんは昨年結婚し隣町で暮らしている。好信さんは2人の娘さんが自立してかラ1人で過ごす時間が増えた。2人の娘さんはそんな好信さんを寂しいんだろうと慮る。ことあるごとに奥さんのことを思い出すという好信さんは毎日津波で流された自宅の跡地を訪れる。現在彼は競技用の鳩をこの場所で育てている。寂しさを埋めるためなのだと話す。13年が経過し、好信さんは「これだけの期間が経てば、もっと妻のことを忘れていると思ったのに、より鮮明に覚えている」と語る
家族3人が集まったある日、好美さんがこれからのことについて話し始めた。それぞれの道を歩み始めた娘さんたちに「子育ては楽しい」と語る好信さん。それに対して娘さんは父親の凄さを感じるという。今でも奥さんは好信さんの中に生きていて「自慢の女房だ」と話す。ただ生前はそれに気がつかなかったが、今になって奥さんを愛していたと感じるのだという。そんな好信さんは2人の娘さんに「自分が成し遂げられなかった添い遂げるということを叶えてほしい」と考えているのだという。
「Dearにっぽん」の次回予告。