- 出演者
- -
オープニング映像。
2023年4月、佐賀市で「ミュージカル県SAGAプロジェクト」のオーディションが行われた。年齢・経験不問で演技・歌・ダンス・面談を審査。338人が参加し、プロジェクト代表の栗原さんが254人を選んだ。舞台はSAGAアリーナで、演目は「佐賀の夜の夢」。
上演する作品はシェイクスピアの真夏の夜の夢を元にした「佐賀の夜の夢」。登場人物を佐賀にゆかりのある歴史上の人物に置き換えた。主役・鍋島直正役の鷹巣さんは劇団を主宰している。歌唱指導兼ぬらりひょん役の藤井さんは九州龍谷短期大学で音楽表現などを教えている。大隈重信役を務める14歳の生方くんは初心者で、藤井さんからの指導を受けた。
栗原さんは人生大学みたいなものを作り上げたいという思いで、佐賀で20年ミュージカルを発信し続けてきた。スモークをたいて照明があたった時に天国だと思った、多くの人に舞台を経験してもらいたいと話した。プロジェクトでは週に1度3時間の練習を行った。メインキャスト22人のほか、アンサンブル46人、コーラス隊60人、ダンサー33人、運営スタッフやボランティアを合わせてメンバーは300人を超えた。
初顔合わせから4か月経った9月、ミュージカルの宣伝のために栗原さんはメンバーの一部を連れ出してチャリティイベント「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2023佐賀」のステージに出演しプロジェクトのテーマソングを披露した。舞台経験のないメンバーに人前で歌う経験をしてもらうのも狙いだった。
車いすの知花さんは4年前に全身の脱力感に襲われ立てなくなったが、演劇への想いを捨てられずもどかしさを感じていなかった時にミュージカル県SAGAが舞台への扉を開いてくれた。本番まで100日を切り、メインキャストの木下さんは焦りを感じていた。音程に苦戦する生方くんをサポートしようと熱心に教えていた。
- キーワード
- ミュージカル県SAGAプロジェクト
メンバーたちはイベントがあるたびに舞台の宣伝をした。ダンサーとして参加する林さんは普段は踊りの先生をしている。息子の聡甫くんはアンサンブル、娘の史理ちゃんはコーラス隊として参加する。特別支援学級に通っている生方くんは感情表現が得意でなく、友達にいたずらをされても嫌だと言えなかった。そんな息子が中学校になったら演劇部に行きたいと言った時のことを母親の由美子さんはよく覚えていた。中学に演劇部はなかったが思いは消えず、今のやる気につながっていた。
本番まで28日となり、練習はより真剣さを増していた。子どもたちの踊りが良くならないことを見抜いた栗原さんは「練習のときだけ練習しに来ないで」と子どもたちに指摘した。SAGAアリーナで踊る重さをじわじわ感じ始めた子どもたちは大きく踊れるように練習に励んだ。そして迎えた2024年1月7日の公演当日、SAGAアリーナに長蛇の列ができた。
ミュージカル県SAGAは公演当日を迎えた。ミュージカル「佐賀の夜の夢」は鍋島直正と盛姫の結婚を巡るドタバタコメディ。公演後、栗原さんはまた心の炎を燃え上がらせて佐賀をもっと面白くできるように頑張ってほしいとメンバーに伝えた。
アリーナ公演から1ヵ月が経ち、生方くんは再びステージに立っていた。演劇への思いはさらに強くなり新たな一歩を踏み出していた。栗原さんのスタジオには再びメンバーが集まっていた。栗原さんは佐賀をもっと楽しくしたい、これが根付いてテンションが上がっていけばアリーナ公演は成功だったのかなと話した。
エンディング映像。