2023年10月12日放送 0:35 - 1:25 NHK総合

NHKスペシャル
老いる日本の“住まい”第2回マンションに迫る2つの“老い”

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

老いる日本の“住まい” 第2回 マンションに迫る2つの“老い”

ことし東京23区の新築マンション平均価格は1億2962万円。全国各地でも新築マンションが次々と建てられているが、その裏で老朽マンションの問題も起きている。今回は建物の老朽化と住民の高齢化を考える。

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不動産経済研究所
オープニングトーク

スタジオでは住宅政策に詳しい齋藤さん、マンション管理の現場に長く関わってきた久保さんにマンション事情を教えてもらう。築40年を超える建物の数は20年後には現在の3.5倍の450万戸近くに迫るとみられている。

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住宅・土地統計調査
老いる日本の“住まい” 第2回 マンションに迫る2つの“老い”
建物の老朽化が深刻な事態に

東海地方にあるかつては人気物件だった5階建てマンションは築38年を迎え、建物のあちこちが壊れ始めている。このマンションに必要とされる項目は外壁の補修や防水工事2500万円、エレベーター取替工事1600万円などで総額5100万円が必要だが、修繕積立金を集めていないため費用がまかないきれていない。一般に分譲マンションには管理組合があり建物の管理運営を行う。補修などは修繕積立金から支払うが、マンション管理士の木村さんが住民から管理を依頼されたときそもそも管理組合すらなかった。全国でマンション販売が本格化した1970年代当時は将来のために修繕計画を立てようという意識が低く、管理組合への理解も広がっていなかった。このマンションでも木村さんがきてから管理組合を作ったが、積立金がゼロの状態からでは大規模な修繕はできない。現在は管理費の中から少しずつ積立をし、水道など生活に不可欠な部分だけを修繕してなんとか維持している。

住民の高齢化で修繕のお金が…

熊本市にある築51年のマンションは所有者の平均年齢が76歳。生活もギリギリで高騰する工事費に対応できていない。長年自分たちだけで自主管理を行ってきたが、若いなり手が見つからず答えは見つかっていない。

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熊本市(熊本)
危険なマンションが町の大きな負担に

滋賀・野洲市にあるマンションは倒壊やアスベストが飛散する危険があった。市が各部屋の所有者に対処を求めたが話がまとまらず、日本で初めて行政が強制的にマンションを取り壊すことになった。使われた税金は1億円以上で、市は所有者から回収しようと努力している。東京都によると築40年を超えたマンションの17.4%にあたる1811件が管理不全の兆しがあるという。

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東京都野洲市(滋賀)
みんなの切実な悩み 老朽化とお金

クローズアップ現代やあさイチの視聴者から寄せられた声の中で多かったのは「今後の修繕積立金の値上がりが不安」「計画のとおりに修繕を行うと修繕費が足りない」といったお金に関する悩みだった。修繕積立金の平均は12,268円/月と言われているが、古くなるともっと高くても足りないケースも出てくる。久保さんは元々マンションは戸建てを目指す通過点だったため修繕費をできるだけ安く抑えようとしていたと指摘した。マンションの寿命の目安は設備が約40年、コンクリートが約100年ほどだが、放置すれば劣化する。

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あさイチクローズアップ現代マンション総合調査
マンション再生へ 行政の”おせっかい”

13年前、京都市役所は管理不全のおそれがあるマンションを見つけ出し専門家が飛び込みで訪問する「おせっかい支援」を始めた。管理組合を立ち上げるなど、47あった支援が必要なマンションの数を半減させた。市の負担は年430万円で行政が取り壊すよりはるかに安くなる。おせっかい支援で専門家が派遣された築49年のマンションでは、最初に担当者が訪れた10年前には建物の劣化が進んでいた。管理組合はなく、住民は管理に無関心だった。担当者は何度もマンションを訪問し、管理の重要さを説明した。2年後には管理組合を設立し、窓口として管理組合のポストを設置した。住民たちは管理組合のメリットに気づき始め、修繕のための積立も始めた。

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マンションサポートネット京都市役所京都市(京都)大阪ガス
マンション救う支援や制度は?/マンションの将来 住民でどう決める?

齋藤さんは「助けて」と言っていないマンションにおせっかいで入って立て直すのが大事だと話した。条件をクリアすればローン金利引き下げや固定資産税額の減額などのメリットがある管理計画認定制度もある。「昭和にできた築50年近くの団地 建て替えするか10年近くもめている」といった声を紹介した。久保さんは日本の中で建て替えが成功している事例は全部で300件ほどしかなくいずれも一等地や条件の良い場所に建っていると指摘した。国は今区分所有法の改正を進めており今年度中にまとめたいとしている。マンションの建て替えや修繕などの決議をしやすくする案で、建て替えの決議に必要な同意の割合を現在の4/5から3/4に引き下げ、また集会出席者だけで決めることができるようにするなど。齋藤さんは建て替えだけが方法ではなく解体して売却するなどマンションの終活を考えていくことが重要になってきたと話した。

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国土交通省
認知症・孤独死 高齢化のトラブル

マンションの部屋に1人で暮らしていた70代の女性が行方不明になったケースも。管理者は以前ふらふら歩いていたので認知症だったのではないかと話した。警察に連絡し行方を探しているが、女性は今も見つかっていない。現在の法律では管理組合が物事を決める際、周回を欠席した人は反対に数えられる。行方不明や認知症で意思表示ができない人がいると管理に大きな影響が出る。また1/5が高齢者の1人暮らしというマンションでは3年前に高齢住人が自宅で孤独死した。死後3か月が経過し遺体は白骨化した状態だった、住民たちは異変に気づかなかった。久保さんは認知症の人が自分に家がわからなくなりピンポンを押して回ったり、ゴミの日を間違えてゴミ出しが怖くなりゴミ屋敷になるといったケースを紹介した。

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認知症
マンションも”ご近所づきあい”

札幌市にある築22年のマンション「ラポール南山鼻」管理組合理事長の町田さんは孤立を防ぐルールが必要だと考え、ひとり暮らしをしている75歳以上の住民はインターホンで毎日管理人室にコールをするといった見守りルールを決めた。希望者だけでなく75歳以上でひとり暮らしをする住民一人一人に説明し、従ってもらうと決めた。京都市にある築40年のマンション「ルミエール西京極」の管理組合は、高齢化が進む中住民同士のつながりづくりに取り組んだ。築30年目に行った大規模修繕の際に交流室と会議室をガラス張りに改装し、中庭へ通り抜ける開放的なスペースを設けてカフェを開いたり住民主催のイベントを行うなどつながり作りの拠点にした。交流室を利用して行わえる移動販売は近所の住民も利用できるようにし、地域との関係づくりも始めた。災害時にはこの建物に避難できるという協定を結び、防災拠点としても存在感を示している。

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ラポール南山鼻ルミエール西京極京都市(京都)
”つながり”が新しい価値に/マンションを”地域の資産”に

久保さんはコミュニティが密なマンションは売却価格が高いという研究もあるなどと話した。「古くからの居住者と新しい居住者のコミュニケーションがうまく取れない」といった声を紹介した。久保さんはまずは自分から声をかけて挨拶すると少しずつ人間関係が深まると話した。齋藤さんは日常的にマンションと地域住民が一緒に防災訓練をするなど連携を取っていくこと、マンションは社会的な資産という視点も重要と話した。

町の老いを防ぐ住み替えサポート

佐倉市のニュータウン「ユーカリが丘」では、マンションと戸建ての住み替えを後押しする取り組みが行われている。同じニュータウンの戸建てから引っ越してきた駅前のマンションに住む星野さん夫妻は戸建てをきちんと売ることができるかが不安だったが、ニュータウンをまとめて開発する企業の住み替えサポートで気持ちが固まったという。マンションに空き室が出ると企業が積極的に買い取り戸建てが暮らしに合わなくなった高齢者などに紹介、空いた戸建ても企業が買い取る仕組み。空いた戸建てには家族が増えた若い夫婦などの住み替えを後押しする。その世代のニーズに合った住まいを柔軟に選べるようにしている。久保さんは新築主義ではなく既存の住まいを活用する持続可能な町作りがもっと取り入れられる必要があると話した。流山市では住み替えのときに不動産業者や建築専門家を紹介するワンストップ窓口を行政が作った。

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ユーカリが丘ニュータウン佐倉市(千葉)流山市(千葉)
(エンディング)
エンディングトーク

ヒロミは「本当に町を考えてこれから動いていかないといけない」などと話した。久保さんは自分のライフスタイルに合わせた住まいのあり方が選択ができて日本全体で循環する住宅が必要だと話した。齋藤さんは人口減少に対応して制度を見直していく必要があると話した。

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