2023年10月1日放送 21:00 - 21:50 NHK総合

NHKスペシャル
老いる日本の“住まい” 第1回 空き家 1000万戸の衝撃

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

老いる日本の“住まい” 第1回 空き家 1000万戸の衝撃

来年の発表される予定の国の調査では、全国で空き家が1000万戸を超えるとみられている。地方だけでなく世田谷でも空き家が大量発生。火災や倒壊など地域の安全を脅かすケースも相次いでいる。空き家問題への向き合い方を探る。

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オープニングトーク

NHKではこのシリーズだけではなくクローズアップ現代で住まいの問題を取り上げ、おはよう日本でも取り上げてきた。あすはあさイチで伝える。「どこに相談してよいのか分からず10年経った」「実家の空き家をどうするか妻にも話せていない」といった悩みの声を紹介した。空き家の数が1万戸を超える市町村は2040年には全国で今の4倍以上になると予想されている。試算した野澤教授は世田谷区や八王子市といったベッドタウンは空き家が増えるなどと指摘した。

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老いる日本の“住まい” 第1回 空き家 1000万戸の衝撃
好立地なのに…なぜ?急増!都市部の空き家

世田谷区で放置されている空き家に区の対策チームが立ち入り調査を行った。世田谷区は土地の価格が高い地域だが、5万戸の空き家があり10年後にはさらに2万戸の空き家が生まれるとの予測もある。区は犯罪に使われるのでは、火事が起きるのではなどと不安を抱いていた。空き家になる家は増え続けているが解決に至るケースは年間数件で、対応が追いついていない。66歳の筑前さんは2年前から都心に亡くなった母方の祖母が住んでいた空き家を抱えている。当初相続の権利を持っていたのは祖母の子ども6人だったが、家の今後について話さないでいるうちに4人が亡くなった。亡くなった人の権利はその子どもたちに移るため、筑前さんを含めた合計8人が権利を持つことになった。このままではより権利が複雑になってしまうと司法書士を雇って遠くの住む親族と交渉を進めた。権利者全員との話し合いが住んだのは1年後。筑前さんは家の行先を決められるようになったが、母から言われた「ちゃんとしてね」という言葉が頭から離れなくなっていた。「売却の意味ではないだろうと思って」「アルバムを捨てられるか捨てられないかと同じ」などと話した。

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世田谷区役所世田谷区(東京)中央区(東京)
都市部の空き家 手放せない深い事情

「面識のない親戚に相続の話をするのが怖くて連絡できない」「亡き母の実家への思いが強かったので手放すことにためらい」など悩みの声を紹介した。物置として必要などの理由で手放せずにいる空き家が全国で350万戸あり、専門家からは「なんとなく空き家」と呼ばれている。空き家専門コンサルティング会社代表の和田さんは「ご存命のうちは親側からどうしてほしいのか具体的に伝えるべき」などと話した。アパートからマンション・団地、最終的には戸建てであがりという日本での住替えのモデル「住宅すごろく」が空き家の増加に関わっている。野澤教授は「核家族化の進行により相続するときには子どもも家を持っている」「世界的に見ても事例のない課題先進地になっている」などと話した。

都会の手放せない空き家 思い出を残した再生法

母親の言葉に悩み続けていた筑前さんの悩みは、地元不動産屋が空き家を使いたいという人を見つけたことで解決した。借主側がリフォーム費用を負担して許可の範囲で自分好みに改修する代わりに相場より安い賃料で借りることができるDIY型賃貸借という仕組みで賃貸した。借り主になったのは外国人向けのフォトスタジオを経営する会社で、筑前さんが大事にしてきた雰囲気を気に入ってくれた。

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DIY型賃貸借
手放せない空き家 次世代へのバトンパス/急増する空き家 法改正で対策強化

和田さんは空き家の活用法について「多くはコワーキングスペースにしたり福祉利用する人もいる」など「いろんな形で使ってもらうという発想が大事」と話した。野澤教授は「血縁相続に縛られずにバトンタッチすることが必要」などと話した。6月に改正された空き家対策特別措置法では自治体と民間の連携を促している。一方で自治体の権限を強化するもので、危険になる前から自治体が指導・勧告できるようにする。これまでは周りに危険を及ぼすような空き家にしか指導ができなかったが、これからは一部が壊れているような管理不全空き家にも指導ができるようになった。

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世田谷区役所空き家対策特別措置法
なかなか売れない空き家 ニュータウンの厳しい現実

埼玉県の鳩山ニュータウンは1970年代に分譲がスタートし、約3000戸の住宅に都心に通勤する人たちが入居した。現在の不動産価格は当時の6分の1に下落。高齢化率は57%となり、約140戸が空き家になっている。空き家を相続した50代の山田さんは処分に悩んでいた。処分費用の見積もりは180万円で、山田さんは広島に住んでいるため掃除に来るたび5万円の費用がかさむ。山田さんは「子どもに残すと子どもが僕と同じ状態になる」「それまでには何か結論を出したい」などと話した。

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LIFULL HOME’Sさいたま市(埼玉)広島県鳩山ニュータウン
スーパーやバスが撤退…空き家は町全体の問題に

野澤教授の試算では、2030年に5軒に1軒が空き家になる可能性がある町が含まれるエリアは1都3県だけで138あるという。野澤教授はスーパーや交通機関などがなくなる可能性があり空き家が町全体の問題になっていくと指摘した。

地方の空き家でも売れるカギは中古市場の活性化

今注目されている中古住宅専門の不動産会社は、地方都市を中心に年間5000戸の家を買い取っている。買い取ったあとはリフォームし中古物件として販売している。購入者の多くは賃貸から持ち家に住み替えたいというファミリー層。国の調査でも20年前と比べると新築を希望する人は減り続け、中古住宅でも良いという人が逆転している。鳩山ニュータウンでは空き家を使って若い世代を呼び込もうと、地元の建築事務所に地域の魅力の掘り起こしを依頼した。空き家見学ツアーを実施すると参加者から地元の人では気づかない魅力が見つかった。今は近隣大学に通う学生をターゲットにし、空き家をシェアハウスとして活用している。

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さいたま市(埼玉)国土交通省平成30年住生活総合調査鳩山ニュータウン
地方の空き家でも売れる カギは中古市場の活性化/行き場のない空き家 解決策はあるのか

野澤教授は中古住宅の劣化状況や欠陥の有無、耐震性などを調査するインスペクション制度を紹介。料金は40坪で4~6万円ほど。「空き家があるのがハザードマップの危険な地域でどこの不動産会社も買ってくれない」「自治体に寄付したいと申し出たが断られた」といった悩みの声を紹介した。10年分の管理費を支払えば土地を国に納められる相続土地国庫帰属制度が4月からスタートした。家を壊して空き地にすることや土質調査などを自分で行わなければならず、現実的ではないとうい声がある。法務省は5年後に必要な制度の見直しを行うこととされており引き続き運用状況や課題を注視していくとしている。

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ホームインスペクション全日本ハウスインスペクター協会法務省相続土地国庫帰属制度
アメリカ 人口激減の町 都市計画で空き家をなくす!?

大手自動車メーカーの企業城下町として栄えたミシガン州フリント市では、景気の悪化を受けて工場が次々と閉鎖。20万人いた人口は半分以下に減り空き家が急増した。市は空き家を緑地や農地などにしていくグリーンイノベーション地区計画を打ち出した。公的機関ランドバンクが税金の滞納で差し押さえられた空き家や空き地を管理。国や自治体の予算で空き地を解体し、土地を住民やNPOに貸し出す。活用してもらうことで治安悪化を防ぐことにもつながる。自分が住んでいる場所から人がいなくなることを受け入れられず都市計画に反対する住民もいたため、住民による家の老朽度調査が行われた。住宅の状態を4段階で評価しデータベース化。自らが調査をしたことで住民たちは自身の地域の厳しい現実と向き合うようになったという。その後様々なエリアの住民を集めたワークショップを開催し調査で得られた情報をもとにどこをグリーンイノベーション地区にするのがふさわしいか議論を重ねた。すると都市計画への反対意見は出てこなくなり、住民合意が進んだ。

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フリント市(アメリカ)
空き家急増時代 個人でなく地域で考える/空き家の大量発生はピンチではなくチャンス

和田さんは空き家は個人でなく地域で町づくりとして考えていきたいと話した。2010年から2020年の10年で住宅取得層は21.6万世帯減っており、2020年から2030年の10年では274万世帯減ってくるとみられている。野澤教授は空き家の大量発生を町の世代交代のチャンスにすることが大事だと指摘した。

(エンディング)
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次回予告

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連続テレビ小説 ブギウギ

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