世田谷区で放置されている空き家に区の対策チームが立ち入り調査を行った。世田谷区は土地の価格が高い地域だが、5万戸の空き家があり10年後にはさらに2万戸の空き家が生まれるとの予測もある。区は犯罪に使われるのでは、火事が起きるのではなどと不安を抱いていた。空き家になる家は増え続けているが解決に至るケースは年間数件で、対応が追いついていない。66歳の筑前さんは2年前から都心に亡くなった母方の祖母が住んでいた空き家を抱えている。当初相続の権利を持っていたのは祖母の子ども6人だったが、家の今後について話さないでいるうちに4人が亡くなった。亡くなった人の権利はその子どもたちに移るため、筑前さんを含めた合計8人が権利を持つことになった。このままではより権利が複雑になってしまうと司法書士を雇って遠くの住む親族と交渉を進めた。権利者全員との話し合いが住んだのは1年後。筑前さんは家の行先を決められるようになったが、母から言われた「ちゃんとしてね」という言葉が頭から離れなくなっていた。「売却の意味ではないだろうと思って」「アルバムを捨てられるか捨てられないかと同じ」などと話した。