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「1.5℃の約束 いますぐ動こう、気温上昇を止めるために」の番組宣伝。
オープニング映像。
ドラマ映像。2021年のナナ(19)大学1年生が、未来の人物からメッセージを受け取った。
アメリカ・ニューヨークなどで、温暖化対策を求める活動が行われた。温室効果ガス排出ゼロを、主要な国々が宣言した。国連 グテーレス事務総長は「地球は壊れているのです」などと発言。グリーンランドの氷床が溶けるなど、地球の各地で異変が起きている。オーストラリアでは山火事が発生し、30億匹以上の動物が犠牲となった。アメリカ・カリフォルニア州でも山火事が発生。2020年の世界の森林火災の面積は約63万km2。
ロシア・シベリアでは38℃という異常な高温を記録。永久凍土の融解が進んでいる。モリウイルスは生物の細胞に入ると12時間で1000倍に増殖。永久凍土に眠る未知のウイルスについて、研究者はWHOに対策を求める意見書を提出した。
二酸化炭素は森や海が吸収していたが、自動車保有台数は60年で10倍になり、電力消費は70年で25倍になった。肉の生産量も増え続けている。ボリビアなどで開発が進み、二酸化炭素を吸収する力が失われていった。また、令和元年東日本台風で、全国各地で堤防が決壊し、90人以上が犠牲になった。台風被害と温暖化には因果関係がある。海水温が上昇し、台風に含まれる水蒸気が増加。結果、温暖化前(1980年)と比べて降水量が約10%増加した。
台風で千曲川の堤防が決壊した時、1000戸が全壊して2人が犠牲となった。温暖化前と現在では、千曲川に注ぐ流量が約20%増えているという。また、水害が発生した長野・長沼地区では、多くの住民が今も戻っていない。
ドラマ映像。2021年のナナが、未来の人物と「温暖化」を話題に会話した。
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- 地球温暖化
ロックストローム博士は3年前、「ホットハウスアース理論」を発表した。シナリオではまず北極を覆う氷に異変が起こる。急速に縮小が起こり、海水が温まって温暖化が加速する。北極圏の気温上昇はシベリアにも影響を与え、永久凍土が溶けることでメタンが大地から爆発的に噴き出す。また、南半球のアマゾンにも波及が起こり、高温や乾燥によって熱帯雨林がサバンナに変化する。森の蓄えていた二酸化炭素も一気に放出されてしまう。連鎖が繰り返されるなかで地球の平均気温は上がり続け、2100年にはプラス4度にまで達する可能性がある。
2100年にプラス4度となってしまった場合のドラマが流れた。
2020年に12日だった東京の猛暑日は2100年には47日と30日以上増えてしまう。外出自体が危険とみなされ、屋外で作業できる時間は3割から4割減少する。また、熱中症のリスクは東京23区で13.5倍にもなり、ひと夏には24万人が救急搬送される。また、日本の砂浜の約9割も消えてしまう。さらに台風の脅威が増していく。プラス4度の場合では水蒸気量が20%、降水量も30%増加する。特に首都圏を流れる荒川では流域に大量の雨が長時間にわたって降り注ぐことで、国の想定する最大規模の水量が荒川に押し寄せる。堤防決壊から12時間で洪水は浅草周辺に及ぶ。浸水の深さは1mで、都心部も一変する。浸水は広い範囲で2週間以上続く。
プラス4度の世界の再現ドラマが流れた。
危機を回避するためにEUは先頭に立っている。2019年にEU委員会は経済成長と温暖化政策を両立させるグリーンディールを発表した。2030年までに行う投資の総額は120兆円だった。EU委員会のフランス・ティメルマンスは「この数年で正しい道に進まなければ状況を変えることは極めて難しくなる」「これは次世代の私達の責任」と話した。プラス1.5度を超えないためには温室効果ガスの排出を減らし、2030年には半減、2050年には実質ゼロにすることが必要となる。一方で新型コロナの感染拡大を抑え込むために行われたロックダウンや経済活動の自粛によって削減できた排出量は推定7%だった。EUでは社会の仕組みをまるごと作り変える脱炭素革命を起こそうとしている。EUの電力業界では、石炭火力の新規建設を禁止し、風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの転換を進めている。また、循環型経済に転換するなかで、今年には国境炭素税の具体案を示す。これを支払わない限り、EUで製品を流通させることができない。
エネルギー消費を抑えるため、住宅や公共施設の断熱化も推し進められる。あらゆる分野に変革を起こすことで、2030年には排出量55%削減を目指す。こうしたうねりの中、かつては気候の破壊者とまで言われた起業も変わろうとしている。発電量でヨーロッパ2位の電力会社「RWE」はこれまで収益の柱にしていた火力発電所と石炭の採掘場を相次いで閉鎖させた。2030年までに排出を75%削減する計画としている。また6000億円を投資し、洋上風力発電を軸に世界市場に打って出ようとしている。ドイツ西部のケルンに暮らす市民は3年前に約100万円かけて太陽光発電のシステムを導入した。発電設備や蓄電池を備えた全国1万の住宅や工場などをネットワークで接続することで、電力会社の発電量が多い時には地域の蓄電池に分散して貯蔵し、足りなくなったときにはそこから供給したりすることができる。電力をデジタル管理することでひとつの発電所のように安定させる仮想発電所の発想だった。仮想発電所を運営する企業のCEOはは「皆がエネルギーの消費者であり生産者でもある」「エネルギー転換とはエネルギーの民主化」と話した。一方で社会システムの急激な変化には反発も起こっている。EU委員会のフランス・ティメルマンスは最も重要な課題を「誰も起きざりにしないこと」だと話した。
EUの進める政策のなかで、それを後押ししたのは若者たちのムーブメントだった。スウェーデンのグレタ・トゥーンベリが15歳のときに始めた気候ストライキは温暖化対策を求める世論を喚起して政治を動かした。温暖化対策に否定的だったトランプ大統領に代わって2050年に脱炭素を掲げるバイデン氏が大統領に就任する。バイデン氏を動かす力になったのも若者たちの声だった。民主党の候補者に対策の強化を求めてきたサードさんは各地に広がる声をバイデン氏が無視できなくなったと感じている。幼い頃から環境問題に興味を持っていたケイリーさんはマイボトル・マイストローなどを使い、同世代のなかでは環境に配慮した生活が当たり前になっていると話す。
ロックストローム博士はアインシュタインの「悪い行いをする者が世界を滅ぼすのではない」「それを見ていながら何もしない者たちが滅ぼすのだ」という言葉を毎朝見ていると話した。また、「若者が怒りの感情を抱くのは当然ですし怒りは力にもなる」「今、私達は『世界2.0』に向かっていく」と語った。
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- アルベルト・アインシュタイン
エンディング映像と次回予告。
NHKスペシャルの番組宣伝。
「ラグビーワールドカップ2023」の番組宣伝。