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日本には不登校の小・中学生が約30万人いる。韓国の教育現場では受験戦争、不登校の増加を背景に新たな学校が誕生している。日本でも新しい学び方にチャレンジする学校が生まれているが、11万人以上の子どもたちはどこにも相談せず、学習支援を受けていない。
学校の未来について話し合う場に文部科学省の矢野和彦初等中等教育局長、教育行政専門家、不登校経験者の子どもを持つ保護者、インフルエンサーのひかりんちょ、大学生の蓑田道氏らが集まった。工藤勇一氏は「学校のシステムそのものが合わなくなってきているよううに思う」と語った。
天童市立天童中部小学校では6年前から校長が率先垂範し、教育改革を実行してきた。先生がクラス全員に教える授業は8割に減らし、残りは子ども自身で学ぶ時間に。ある男子生徒は「めちゃくちゃ飛ぶ紙飛行機つくりたい」と話す。小林大輝先生は「自分で学び、発見できた方が、気になったことを自分で学んでいこうとするんじゃないかな」と語った。
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OECDは先行きが見えない時代だからこそ、「自ら考えて行動し、社会変革を実現していく”エージェンシー”」が必要な力としている。民間のスクールで学んでいた蓑田道氏は生徒たちが大人と話し合い、学校を運営していたといい、大人と生徒は対等な立場だったと振り返った。文部科学省は主体的な学びをより進めようと、各人に応じた個別指導、多様な人と協同し学びを深めることを目指している。ただ、生駒知里さんは子どもや親御さんから聞く話として、広がりを感じていないという。工藤勇一氏はある学校の英語の授業では教えてもらうクラス、そうでないクラスがあり、教育YouTuberの動画を参考にしたり、アプリを使ったりしていると明かした。
子ども主体の学びについて、教師からは戸惑いの声も聞かれる。小林先生によると、全国学力テストに限ると、なかなか結果が出ていないという。
オーストラリアの研究によると、学びに意欲的な子どもはポジティブな感情を高め、学力、満足度が上がるという。工藤勇一氏は「高度経済成長期と違い、今は会社が10年存続できるかも分からない時代で、自ら考え、行動し、決定するっていうことを繰り返した子どもが生きていける」などと語った。荒井准教授は「日本の学校の仕組みは識字率の高さ、学力水準の点で世界に誇るべき。ただ、一律に平等に条件を整備していこうというものが、子どもの学び、学校の自由度を奪っているのではないか」と話す。
石川・加賀市では市内すべての小中学校で授業改革に取り組み、先生が子どもに学び方を任せている。加賀市教育委員会ではそうした先生を支援する取り組みを立案した。島谷千春教育長は「やったことがない授業スタイルなので、いくらでも失敗してくださいと伝えている」と語った。工藤勇一氏は受け身になった子どもの特徴として責任転嫁を挙げ、「育てなければいけないのはありのままの環境を受け入れ、そのなかで何ができるかを試行錯誤し、学び方を覚えていく子どもたち」と述べた。文部科学省の矢野和彦氏は加賀市教育委員会のような存在が全国津々浦々にあるわけではなく、小規模のところには手を差し伸べていきたいという。
矢野和彦氏によると、コロナ禍では給食の時間に距離を確保し、他の生徒と喋らないようになど、人と人の接触が減り、学校に行かなくていいのではという風潮が生まれたという。荒井准教授は「発達障害を持つ子ども、貧困家庭、ヤングケアラーなど、色々な子どもが1つの教室の中で同じ進度で同じように学ぶことの限界が来ていると多くのところで言われている」と述べた。
文部科学省は不登校対策「COCOLOプラン」を発表していて、通常の学校より柔軟な学びが可能な”学びの多様化学校”を増やしたり、教育センターの充実などが盛り込まれている。熊本市では不登校の子どもたち向けのオンライン授業を配信している。だが、学校に行っていない子どものうち2割がどこにも相談せず、学習支援も受けていないことがわかっている。学ぶ場所、居場所を行政が用意するだけでは解決しないという。
教育委員会が設置する支援拠点、教育支援センターについて、多様な学びプロジェクトは不登校の子を持つ親を対象にアンケートを実施。「利用できるところはあるが利用していない」が42.8%、「利用したが助けにならなかった」が15.6%。支援者が元教員だと、学校みたいな雰囲気があるので行きづらいという。
千葉市のフリースクールには不登校の小・中学生15人が在籍している。ただ、利用料は毎月2万2000円。加えて、毎日開講するのは基本的に難しいという。
学校に行かない子どもたちの受け皿としてフリースクール、学習塾、ホームスクールなどがある。古山明男氏は「子どもたちが自分に合った学びの場を選べるよう、民間の力を活用すべき」と訴える。矢野和彦氏は「民間の支援団体の方がノウハウ、人的も持っているところがあるため、業務委託、人事交流など、教育支援センターの役割はどんどんグレードアップしていかないといけない」と語った。
長野県ではフリースクールを認証し、公的に支援するための制度づくりに着手した。一定の要件を満たしたフリースクールに補助金を出すなど運営をサポートし、子どもが自分に合ったフリースクールを見つけられるように情報サイトも立ち上げる。
古山明男氏は長野県の取り組みを評価し、制度づくりに親御さんも参加していることに着目した。荒井准教授は「フリースクールの皆さんとの関係をどう紡いでいけるか、いよいよ本気で考えるべき時代」と語った。インフルエンサーのひかりんちょは学校というものがよりよく変化しつつあることを知り、蓑田道氏は「教育で大切なのは生きていく力をつけること。学校でも興味を持ったことを探求できる空間になっていけたら」と期待した。
学校のみらいについて、工藤勇一氏は「不登校が問題にならない教育の世界をつくる」、荒井准教授は「インクルーシブでフレキシブルな学校。民間、行政、教育関係者でつくっていきたい」、生駒知里代表は「子ども、保護者、先生も心、命にエネルギーが与えられたと思えるような学校」などと発表した。
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