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今回のテーマは「命とは何か」。「命の炎」の正体が最新研究によってわかってきた。
オープニング映像。
ヘンリエッタ・ラックスは31歳の若さで子宮頸がんで亡くなった。亡くなる直前に採取されたがん組織・ヒーラ細胞が1951年以来、今も増え続けている。がん細胞は強い増殖力を持つが、体の外では死んでしまうものだった。しかし、ヘンリエッタの細胞は驚異的な増殖力でシャーレの中でも生き続けた。HeLa細胞は世界初のヒト培養細胞で、実験用として今では世界中膨大な数の研究施設に広がっている。ヒトの細胞を使った研究が可能になったことで、様々なワクチンや薬の開発に使われてきた。
ヒーラ細胞は多くの研究者にとって不可欠で、生命科学の発展に大きく貢献してきた。シリーズ人体IIIでは「命とは何か?」に迫る。MIAIAが命か?命じゃないか?高速クイズに挑戦した。学術的に広く受け入れられている生命の定義は「外界と隔てられている」「代謝を行う」「自己複製する」。これら全てを有している最小単位は細胞。細胞の中は“命を作る部品”で満ちあふれるている。
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今、世界中の研究者たちが命の仕組みを解き明かそうと細胞の中身を研究している。ロナルド・ベイルは細胞の中にある小胞に注目した。それ自体に動く機能はないが、細胞内を顕微鏡で見ると小胞がレールのようなものに沿って規則正しく動いていることを見つけた。小胞の代わりにとても小さいプラスチック製のビーズを入れてみると、レールの上を動き始めた。その後も細胞の中で物質が動き回る現象は数多く記録された。東京大学の廣川名誉教授は小胞とレールの間に足のような構造の撮影に成功した。ギリシャ語で「動く」を意味する「キネシン」と名付けられた。
キネシンの動きを紹介。キネシンの大きさは80ナノメートル、たんぱく質の一種。食べ物や酸素から作られたエネルギーを利用して動く「モーターたんぱく質」。
喜怒哀楽を生み出す脳の中は約1千億個の細胞が作り出す網の目のような構造をしている。細胞から細胞へ吹き出すのは感情を司る神経伝達物質。これを受容体が受け取ることで感情が生まれる。神経細胞の中心部ではたくさんの物質が浮かんでいる。小胞の中には神経伝達物質や受容体が入っている。キネシンが小胞に触れると形が変わってレールに降り立つ。キネシンは2本足で歩く。キネシンが感情の元を運んでくれないと喜怒哀楽を感じることが出来ない。キネシンの数は神経伝達物質1つにつき約200万~1000万もいると考えられている。4本足で歩くダイニンの進む方向はキネシンとは逆方向。細胞の外から来た荷物を中心に運んでいく。キネシンが歩くレール・微小管は出来ては壊れてを繰り返し目的地へ伸びる。役目を終えたキネシンは再び折りたたまれ、次の出番を待つ。運ばれた感情の元は出口付近で保管され、刺激を受けると一斉に細胞の外へ。
キネシンっは全身の細胞にいる。細胞の中の部品は遺伝子の情報で作られている。細胞内ではたらくたんぱく質などを番組では“細胞内キャラクター”と呼ぶ。中でも今回注目したいのが糖質吸収の6つ。糖をエネルギーにするためには細胞に吸収される必要がある。
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サッカー選手のセルジ・サンペールは1型糖尿病を患っている。血糖値を正常に戻す薬の注射が毎日欠かせない。食事で糖質を取るたびに増える血液中の糖分を吸収するのが筋肉など全身の細胞。糖分が体のエネルギー源となり体を動かすことができる。糖質の取り込み役・グルット4は食事などで血糖値が上がると現れる。グルット4の数が少ないと高血糖のままになってしまい、多すぎると低血糖になりどちらも危険。細胞の核近くでトリスケリオンがグルット4の周りに集まり合体するとクラスリンになる。糖分を取り込むグルット4を細胞の表面に運ぶため、土台ごとちぎり取った姿だ。合体が解除されるとロープ役がそれをキャッチ。グルット4がスタンバイ完了すると合図を待つ。糖質を食べて血糖値が上がるとすい臓からインスリンというホルモンが出てくる。1型糖尿病はインスリンが出なくなる病気。インスリンの号令が細胞に届けばユーエスピー25がロープを切断してキネシンが受け取る。インスリンの量に合わせて必要な分だけグルット4が受け渡される。
世界中の研究をまとめた細胞内のチームプレー相関図を紹介。ヒトの細胞の中ではおよそ10万種類の“細胞内キャラクター”が働き、連携している。これが働かなくなったら細胞や私たちの死を意味する。遺伝子を読み取るキャラクターや組み立てるキャラクターもいる。
遺伝的に全く同じマウスを2つの異なる環境で育てた。刺激の多いAグループはおもちゃがたくさんあり、15匹という集団生活でマウス同士の社会性も培われる。刺激の少ないBグループは狭いケージに3匹で飼育する。飼育開始から1か月後、神経細胞の中にいるキネシンの量を調べたところ、AグループはBグループのおよそ1.7倍に増えていた。神経と神経の間の情報伝達がしやすくなり高次脳機能が向上する。ヒトも自分たちの行動次第でキネシンが増えるという。
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エンディング映像。
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