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オープニング映像。
2023(令和5)年に90歳で亡くなった森村誠一さんはホテルのフロント勤務を経て作家になった。「自分の小説には私怨を込めている。サラリーマン時代は組織の底辺に埋没していた。全く認められていない多くの人たちに作品を読んでもらって、少しでもストレス解消になればいい」と語っていた。森村は昭和8年に現在の埼玉県熊谷市で5人兄弟の長男として生まれた。子ども時代は毎日図書館に通う文学少年だった。12歳だった1945(昭和20)年に266人が犠牲となった熊谷空襲を体験した。昨日まで元気だった人が川に遺体となって流れていく光景をいつか書き残したいと感じたという。大学で文学を学んだ森村は1958(昭和33)年にホテルに就職。ホテルの常連だった作家・梶山季之は編集者に渡してほしいとホテルのフロントに原稿を預けていた。それをこっそり読んでいた森村は自分も書きたいと思うようになり、34歳で退社して小説家となった。ホテルで起きた殺人事件を描いた「高層の死角」(1969年)で江戸川乱歩賞を受賞。43歳になった1976年に代表作「人間の証明」を発表。後に映画化され、森村もホテルの従業員役で出演した。映画のヒットと相まって総計770万超の発行部数を記録した。翌年には「野性の証明」が映画化され、再び大ヒット。森村は長者番付の作家部門でトップになった。書斎では大音量で演歌を流す独特の執筆スタイルだった。1981年には731部隊を描いた「悪魔の飽食」を発表。少年時代に戦争を経験した森村は自由や平和の大切さを訴えていた。晩年の森村は老人性うつ病と認知症を発症したが、執筆意欲は生涯衰えることはなかった。400を超す作品を執筆し、総発行部数は1億を超える。
エンディング映像。