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オープニング映像。
12歳のピアニストは指の関節が曲がらない、生まれつきアペール症候群でありながらも自分の指でしか出せない音を美しく響かせたいと奏で続けている。
- キーワード
- アペール症候群
福岡市で暮らす12歳のピアニスト・村山陽香は小学校の卒業を控えていた。村山は生まれつき指関節が動かず、生まれたときには薔薇蕾のように全部の指がくっついていた。アペール症候群は遺伝子の突然変異により骨や関節に異常をきたすもので15万人に1人の難病とされている。村山は生後半年で頭蓋骨手術を施し、小さすぎる頭から脳の発育を守り、くっついた指を引き離す手術などこれでに7回手術を受けてきた。アペール症候群と歩んで12年の村山は母・尚子の影響で幼少期からピアノに触れ、4歳でピアノ教室に通い始め、制限ある演奏で8年間ピアノに打ち込んできた。村山は片手で弾けないパートは両手で弾く技術を身につけ、ハンデを工夫で乗り越えてきた。村山は数々のピアノコンクールで金賞などに輝いている。2023年に村山と共演したバイオリニストの藤松は、村山の奏でる音色は彩り鮮やかな綺麗な音などと評価した。
今年4月、長丘中学校入学前に村山は新たな壁を迎えていた。この時村山はアペール症候群の影響から膝の状態が悪化しており、校内での移動に不安を抱え、この日は校内を実際に歩いて確認していた。村山は今も福岡市立こども病院に月に1度通っており、小学校生活の最後の頃には通学することすら出来なくなっていた。それでも村山は膝に負担のかかるピアノの演奏を辞めることはなく、2時間に渡るリサイタルが控えており、ステージで村山はアペール症候群でもピアノを弾けるのだと同じ病に苦しむ人々に伝えたいなどと明かした。村山はソロコンサートを前に1日8時間の練習を自身に課していた。村山は思い入れのある楽曲について「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だと伝えた。
本番まで28日・3月1日、村山はAM9:00から基礎練習を20分、「花のワルツ」の練習を70分、昼食後には「ロンド」の練習を60分、「コンチェルト」の練習を60分、「ハンガリー舞曲」の練習を30分、「アヴェマリア」の練習を60分、「主よ人の」の練習を30分、夕食後には「小さな世界」の練習を20分、「カルメン前奏曲」の練習を20分、「ラデツキー行進曲」の練習を20分取り組んだ。
3月29日、コンサート本番当日を迎えた村山はアクロス福岡にてコンサートの準備をしていた。コンサート本番、村山は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525 第1楽章 アレグロ/モーツァルト」などを奏で、アペール症候群についてや、ピアノ演奏に対する情熱を観客たちに伝えた。村山は自分にとってピアノとはずっと近くにいて励まされる友達などと語った。
今年7月、村山は長丘中学校に通い始め3か月、友人の輪が広がっていく中で、子どもたちの前で演奏してほしいと依頼され、8月に本番が控えていた。そんな村山の将来の夢はパン屋なのだと明かした。今年8月、福岡市立心身障がい福祉センターでピアノを演奏した村山は同じ境遇にある子どもたちに優しい音色を届けた。
次回予告。
