2023年9月24日放送 13:55 - 15:20 テレビ朝日

SDGsスペシャル
再エネ革命!ニッポンの挑戦

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(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(SDGsスペシャル 再エネ革命!ニッポンの挑戦)
“厄介者”が地域資源に 秋田風作戦で故郷に力を

日本の再エネで潜在力が圧倒的に大きいのが風力。実は、風力だけで日本の全電力を上回るポテンシャルが眠っている。秋田は、すでに県内全世帯分を賄える電力を風力で産み、2030年以降に再エネ電力の県外輸出を目指している。

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秋田県

秋田市の海沿いを北に進んでいくと、多くの風車が回っている。秋田県では、約300基の陸上風車が回り、65万キロワットの電力を生み出している。これは、県の総世帯分を上回る電力。秋田県は今、風力発電の導入量でトップクラス。それを作り上げたキーマンの1人が、風力発電を展開する企業「ウェンティ・ジャパン」の社長・佐藤裕之さん。年間を通じて偏西風が吹き付け、風力発電の適地とされる秋田。佐藤さんが運営する「秋田潟上ウインドファーム」は、22基の風車が南北6kmにわたり連なり、約4万世帯の電力を賄っている。

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ウェンティ・ジャパン秋田市(秋田)秋田潟上ウインドファーム

秋田出身の佐藤さんは、高校卒業後一橋大学に進学。経営コンサルタントを経て、父の建設会社を継ぐため、18年ぶりに秋田に帰ってきた。その時目にしたのは、衰退した街の姿。経済の低迷に人口減少、町おこしイベントなど地道な活動を続けたが、それだけで秋田が元気になることはなかった。そんな中、佐藤さんの生き方を変えたのが、2011年の東日本大震災。そこで思い至ったのが、電力の地産地消。地域資源の風を活かし、故郷に再び灯りを灯そうと、動き始めた。しかし、秋田で発電事業を行ってきたのは、県外資本の大企業がほとんどだった。

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“スポーツ”YUKIYOSE 世界大会ウェンティ・ジャパン一橋大学東日本大震災秋田市(秋田)

植民地からの脱却。佐藤さんが描いたのは、地元企業で手を取り合い、一丸となって挑むことだった。「ウェンティ・ジャパン」は、地元企業が資金を出し合って設立された会社。そこを足がかりにプロジェクト「秋田風作戦」を立ち上げる。風力発電を地場産業にするのが狙いだった。今では、製造業や金融など、150社以上が参加している。地元の企業が東京の大企業と渡り合っている。

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ウェンティ・ジャパン

航空機や自動車などの部品を製造している由利本荘市・三栄機械の齊藤会長は、佐藤さんが秋田風作戦への参加を強く呼びかけた盟友。この出会いをきっかけに三栄機械は風力の世界に参入し、6年前から風車の基礎部分にあたるアンカープレートを製作してきた。風力関連の売上は4~5億円ほど。秋田の風力発電はさらに広がっており、新たに秋田港などで洋上風力発電の商業運転が始まった。日本政府が将来の主力電源と位置づける洋上風力発電は、再エネ拡大の切り札として原発45基分の導入を目指している。国内初の大規模な洋上風力発電が秋田に誕生した。手掛けるのは秋田洋上風力発電株式会社。秋田港と能代港合わせて33基が生み出す電力は13万世帯分に相当する。強い風が安定的にふくことと、広大な設置面積が確保できるため大量導入できるのが洋上のメリット。

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三栄機械由利本荘市(秋田)秋田洋上風力発電秋田港秋田港洋上風力発電所能代港

秋田県ではさらに4つの海域で100基以上の洋上風車が建設される計画。佐藤さんが三菱商事などとともに勝ち取ったのは由利本荘市沖。計画では約30キロに渡って風車65基を建設。生み出す電力は約60万世帯分で、ここだけで秋田県内の総世帯分を大きく上回る。さらに驚きは価格の安さで、売電価格は11.99円/kWh。石炭火力や原子力の発電コストと同じ水準。洋上風力発電の経済効果は3800億円で、3万7000人以上の雇用が生まれると試算されている。

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ウェンティ・ジャパン三菱商事由利本荘市(秋田)発電コスト検証について経済産業省資源エネルギー庁

この夏、秋田は記録的な大雨で被害が出た。漁港にも流木が港に入りこんだ。とれる魚が南方系の魚が増えてきていて、地球温暖化を肌身に感じるという。そこでメンテナンス事業の新会社を地元漁協や地元企業で設立した。佐藤さんらが由利本荘市沖に建設する洋上風力。日本の大手風車メーカーは撤退し、部品を海外から調達している。

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ウェンティ・ジャパン三栄機械八峰町(秋田)由利本荘市(秋田)秋田市(秋田)秋田県漁業協同組合
目指す再エネの“県外輸出” 誇り高いパイオニアの地に

通常は公開されない風車の内部に迫る。地上78mに位置するナセル。横幅13m・高さ4mと大型バスほどの大きさ。その中へ入った。ナセルにはブレード(羽根)がついていて風を受けて回転する。その回転のスピードをギアを使ってあげる。そのあげた力を後ろの発電機が回して発電する。洋上風車のナセルは更にこの3倍ほどの大きさ。秋田県の三栄機械はナセルを形作る骨格部分などの製造を目指している。風力が秋田のものづくりに追い風となっている。そして特別にナセルの上へ。風力があちこちにあるのがよく分かる。佐藤社長によると、2030年以降、秋田は再エネの電力を県内に輸出できる地域に生まれ変わるという。佐藤社長は「秋田の未来は明るいと思いますよ。日本の再エネを支えるパイオニアの地として本当に誇り高い地域になっていくんじゃないか」と話した。

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ウェンティ・ジャパンナセルブレード三栄機械秋田市(秋田)
“世界3位の資源”地熱を生かせ 「業務スーパー」創業者の挑戦

町の至る所から湯けむりが立ち昇る熊本・小国町。この場所で日本の地熱発電が大きく変わろうとしている。激しく吹き上がる蒸気。掘削した井戸に十分な量の蒸気があるかを確認する噴気テストが行われた。ここでの開発に人生をかける沼田昭二さん。実は全国で1000店舗以上を展開する「業務スーパー」の創業者だ。停滞していた日本の地熱発電をなんとかしたいと全くの異業種から飛び込んだ。発電所は来年3月に運転開始予定で、一般家庭8000世帯分の発電能力を持ち、年間売電収入は15億円になるという。

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地熱発電小国町おこしエネルギー地熱発電所小国町(熊本)業務スーパー

発電所では資源の保全と環境への配慮のため、発電の際に取り出した熱水を地中に戻す還元井が作られている。地上に取り出した熱水は次第に温度が下がり、地熱貯留層にそのまま戻すと貯留層を冷やしてしまうおそれがある。そのため、発電所から大きく離れた場所に還元井を配置、戻した熱水はマグマによって温められ循環する。沼田さんは業務スーパー社長として活躍していたとき、甲状腺がんを患い私利私欲を捨てて次世代の子どものために技術などを形として残したいと思い、再生可能エネルギー特に地熱発電の開発を考えた。

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革命的アイデア“地熱改革” 「業務スーパー」で磨いたノウハウ

地熱開発において10年以上の長い開発期間とそれに伴う莫大な経費が課題となっていた。業務スーパーでは自社工場で商品を製造することでコストをカットしていて、冷凍ケースや製造ラインも自社設計で製造している。必要なものは自分たちで作るという経営哲学から地熱開発では自走式の掘削機を自作した。従来の大型車では入りにくい山奥の現場でも道の整備をせずに入ることが出来る他、櫓を組まずに掘削が可能で掘削費用も2億円から6000万円に削減する事に成功した。一般的な地熱発電所は熱源の規模に応じてサイズが変わるが、沼田さんは熱源の規模に関わらず同じ設計・同じサイズの発電所を建てることで、これまで発電所を建てるたびに行っていた設計が無くなり工期短縮とコスト削減が実現できるという。大きな熱源には同じ発電所を複数建てることで対応し、努力の結果調査から運転開始まで通常は10年以上かかる所を今後5年間に短縮できるという。パッケージ化と並行して掘削のリスクは沼田さん達が負い、建屋部分は大手建設会社と費用を折半するフランチャイズ方式の発電所を開発を進めている。業務スーパーの急成長に繋がったフランチャイズ方式のノウハウを活かした日本エネルギー業界初の取り組みで既に10社以上から申し込みが寄せられている。沼田さんは大手企業に興味を持って頂くことによって地熱発電の開発が進むよう考えている等と話している。地熱開発には温泉の保護等を理由に地域から反対の声が上がり開発を断念するケースもある。

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業務スーパー涌蓋山
新社名にこめた地域への熱い思い 「業務スーパー」創業者の“地熱改革”

温泉で知られる鹿児島・湧水町で、沼田さんは2年前から発電所を作るための掘削をしてきた。しかし、地元の人からは「お湯の量が減るのではないか」など、不安の声も上がっていた。沼田さんは街の人たちを何度も掘削の現場へ連れていき、発電所の仕組みについて詳しく説明。お湯の量が減らないことを理解してもらった。町役場へも何度も通い、池上町長とは何年もかけて信頼関係を築いてきた。人口およそ9000人と過疎化の進む湧水町で、町長の心に響いたのは地元への貢献の姿勢。沼田さんは地熱開発をある信念のもとで始めた。その思いは現在の会社名「町おこしエネルギー」に込められているという。「地熱も太陽光も風力も、おもに地方にある。地域活性のために使うものだと考えている」と話した。発電所を作る地域には必ず現地法人を設置。地元の人を雇用している。さらに、沼田さんは街が求めている宿泊施設の再建、そして隣接する観光名所の整備にも乗り出した。何よりも大切にしているのは地域を元気にすること。努力を続け、全国30か所で掘削の許可を得ているという。

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八幡大地獄南洲館吉松駅前温泉栗野岳温泉湧水町役場

さらに沼田さんは地熱に関する学校まで作り上げた。実際に使われて機材を使い掘削技術を学ぶことができる。その背景にあるのが地熱発電所を作るための技術者の高齢化がある。沼田さんは技術は世界でも優秀で次世代のためにこれが必ず必要という事で学校を作ったと話す。そして地下には世界で3番めの資源がありそこに注力して次世代の子どものために必ずやり遂げなければいけないと話した。

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掘削技術専門学校白糠町(北海道)
日本で“ノーベル賞級”の発明 「ペロブスカイト太陽電池」秘話

2022年、ノーベル賞の前哨戦とされる科学者の表彰式が行われた。その中でひときわ注目を集めたのは宮坂力教授の「ペロブスカイト太陽電池」の発明。ペロブスカイト太陽電池の最大の特徴は薄さと軽さでさらに自由に曲げることもできる。さらに曇の日や室内でも一定の発電が可能となっている。今までの太陽光パネルは重く固いため設置場所が限られていたがペロブスカイト太陽電池なら建物の壁面や車体などと自然体を発電所に変えることができるとされる。

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ペロブスカイト太陽電池ロンドン(イギリス)

宮坂教授が発明した「ペロブスカイト太陽電池」。ペロブスカイトを薄いフィルムなどに塗って乾かすだけで完成する。そのデザインも自由自在で、色を付けることも可能。さらに原料のほとんどが国内で調達できる。国際情勢に左右されない純国産エネルギーになり得るこの電池。その発明の裏には2人のキーパーソンがいた。宮坂教授は富士フィルムで20年間研究者として働いていた。当時研究していたのはリチウムイオン電池。しかし出荷直前で採算が見合わず、チームは解散。47歳で会社を去った。そこで会社での経験を活かし、大学でフィルム型太陽電池の研究を始めた。その研究室にやってきたのが、学生だった小島陽広さん。小島さんは太陽電池の材料としてペロブスカイトに注目した。

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ペロブスカイト太陽電池富士フイルム桐蔭横浜大学睦沢町(千葉)

実験を始めて数ヶ月、ペロブスカイトを使った電極に光をあてると電気反応がみられた。そこで太陽電池の材料になることが初めて発見されたという。これで宮坂教授はひとつ研究テーマの旗を挙げられると思ったと話す。研究を重ねた2009年、小島さんと宮坂教授はペロブスカイト太陽電池を発表。光をどれだけ電気に変えられるかを示す変換効率は、当時3.8%。従来の太陽光パネルと比べると低く、注目されなかった。しかし3年後、オックスフォード大学のヘンリー・スネイス教授が変換効率10.9%のペロブスカイト太陽電池を開発。その論文は科学雑誌・サイエンスに掲載され注目を集めた。

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オックスフォード大学オックスフォード(イギリス)サイエンスペロブスカイト太陽電池桐蔭横浜大学
日本発のペロブスカイト太陽電池 普及目指し世界で開発競争が激化

この日宮坂教授が視察に訪れたのは、ペロブスカイト太陽電池専門の会社。湿度などが制御された密閉空間で研究が行われ、奥に進むと基盤が山のように積み上げられていた。現在普及している太陽光パネルの変換効率は最大で25%、そこにペロブスカイトを重ねることでより高い変換効率が期待できる。スネイス教授の研究室では変換効率40%を目標に研究開発が進められている。9億円の費用をかけてつくられた研究室は最先端の設備が備わっている。スネイス教授の会社ではドイツに大型の量産工場を作り、今年中に新型ペロブスカイト太陽電池の生産開始を目指している。

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オックスフォードPVオックスフォード大学オックスフォード(イギリス)ドイツペロブスカイト太陽電池桐蔭横浜大学

中国でも国を挙げてペロブスカイト太陽電池の研究開発を急いでいる。その開発をリードする中国企業の工場を紹介。2024年夏ごろから量産を始める予定だ。宮坂特任教授は国産化を目指し、印刷技術に強みを持つ麗光に協力している。麗光では別のフィルム型太陽電池を生産していて、フィルムに塗るインクを変えるだけでペロブスカイト太陽電池を生産できる。

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ペロブスカイト太陽電池大正微納科技日野町(日本)鎮江市(中国)麗光
日本のトップランナーが大量設計 壁面に「ペロブスカイト太陽電池」

日本では次世代太陽電池の実用化事業の研究開発の支援に政府が648億円以上の予算を投入するなど異例の手厚いバックアップを行っている。この期待を背負っているのが大手化学メーカー・積水化学工業の「ペロブスカイト太陽電池」で、大阪本社の建物では壁面に設置して発電をしている。

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