保険がきかない高額な診療にもかかわらず患者が後を絶たない病院がある。千葉大学医学部付属病院総合診療科は専門を問わず集まった21人の医師チームが様々な病院で精密検査を受けても病名が分からなかった人々の診察を行っている。検査では分からない謎を解くカギは徹底的な聞き取りだ。診断の9割は問診と身体診察で決まり、検査で病名が分かるのは1割だという。総合診療科は日常に潜むわずかな手掛かりから21の頭脳を結集し患者の病態を解き明かす。急に意識を消失する80代女性は数々の病院を訪れたが病名がつかなかった。医師は家族全員の仕事から好きなテレビ番組まで徹底的に聞き取りを行った。専門の壁を超え様々な角度から病因を検証していく。疑われたのはてんかんと起立性低血圧による失神だった。女性の場合はてんかんの治療をすでに行っていたが改善が見られていなかった。不安定な血圧に注目し寝ている時と歩いている時の血圧を測定すると寝ている時は高めで立っている時は血圧が低下していた。立った時は血圧が半分くらいに低下していた。診療中にも起き上がって2分後に意識消失の兆候が見られた。診察開始から8時間、原因は起立性低血圧、症状は「てんかん発作」であることを突き止め「起立性低血圧に伴うてんかん」と診断された。かかりつけの病院とも治療方法を共有した。患者の家族は目指す道しるべができたことで救われた。