アメリカのヨセミテ国立公園には、約500頭のアメリカクロクマが生息している。クマ対策チームが設置されていて、GPS信号などでクマの行動を監視している。人が集まる場所にクマが近づいている場合は、現場で監視する。周囲の人々に、食べ物の管理徹底を呼びかける。1920年代から40年代ごろまで、ヨセミテ国立公園では、人がクマに直接えさを与えたり、残飯を集めておびきよせたりして、クマが観光の目玉として利用されていた。人がクマに引っ掻かれたり、車が荒らされたりする被害が多発。年間約100頭が殺処分された。これを教訓に、現在では食べ物の管理徹底が行われている。キャンプ場には、ベアボックスと呼ばれる食料保管庫が1000個以上設置されている。見回り中、放置されたワインの空きボトルと洗剤を発見。こうした匂いにもクマは引き寄せられる。ヨセミテでは、保管庫の利用が国の法律で義務付けられている。最大5000ドル、日本円で約78万円の罰金が科されることもある。現在、クマ被害はピークだった1998年の2%ほどになっている。殺処分も年間2頭ほどに抑えられている。クマ対策チームは、餌付けされたクマは死んだも同然、人の食べ物の味を覚えたクマは攻撃的になり、リスクと判断されれば駆除せざるをえないなどと話した。
