チームのキャプテンをつとめる今野恵一さん(74)はストライカーとしてゴールを期待されている。今野さんのプレーは前線からとにかく走る。豊富な運動量を持ち味にゴールを貪欲に狙う。今野さん自慢の体力の秘訣は日常生活にあるということで自宅に行くと、実は今野さんは漁師。父親の後を継ぎ10年ほど前から素潜り漁を始めた。水深3mほどの岩場に隠れるサザエやアワビなどを狙う。水中に潜り水面に上がってきたのは40秒後。これを試合時間の4倍近い2時間半にわたり繰り返す。漁で心肺機能が鍛えられることで、サッカーで苦しい時間帯でも走り切ることができている。今野さんがそこまでサッカーを続ける原動力は高校時代の苦い経験だ。県内屈指の強豪・秋田商業に進学し猛練習に励むもほとんどがベンチ外。今野さんにとって高校時代のサッカーは悔しさの象徴だった。それでもサッカーが好きで辞めれなかった今野さん。気づけばサッカーはかけがえのない中間と過ごす生きがいになっていた。そんな今野さんの情熱は家族にも受け継がれている。孫の要くんと美良ちゃんは休みの日には一緒にボールを蹴って高め合う存在だ。美良ちゃんは全国大会に出場する今野さんに得点を決めてきてほしいとお願い。迎えた全国大会の初戦。今野さんは試合前、自らとったサザエでエネルギー補給。応援にかけつけた妻の由紀子さんは来られない孫たちに代わって応援。初戦の相手は去年優勝している兵庫県の選抜チーム。今野さんは先発で出場する。今野さんはこの日も前線から厳しいチェック。強豪相手に一歩も譲らず積極的にボールを奪いに行く。そして後半、味方のロングボールから今野さんにチャンスが。しかしここは相手の堅い守備に動きを阻まれた。チームはこのあと失点。今野さんも40分フル出場を果たすが勝つことはできず。孫との約束のゴールもこの日は決めることができなかった。サッカーと共に歩んできた人生。今野さんはこれからも悔しさを力にゴールを目指し続ける。翌日の試合では2得点して勝利に貢献したそう。今野さんの次の目標は孫と対戦することだという。