ことしは井上ひさし生誕90周年にあたる。井上ひさしは2010年に亡くなるまで70本近くの戯曲や多くの小説やエッセイを描いた。井上ひさしは皆の手によって作り上げられる共同体の力の奇跡を信じ、あるかもしれない奇跡にかけるのが演劇や舞台芸術を上演する意味だと伝えている。そして、すべてのライブで行われるものが全てユートピアだと定義づけた。その思いは著作の中に残されている。『ひょっこりひょうたん島』も井上ひさしが作り上げた国家だった。この作品のあと、井上ひさしは国づくりの思想を様々な小説に書いていく。井上麻矢氏は父が生きていたら、と想像し、「混迷の中で人間の位置が問われているね」と語っているように思えると話した。あるインタビューで井上ひさしは「平和という言葉を日常と言い換えるようにしている。平和はあまりにも使われすぎて意味が消えかかっている」と話している。