青森県では農家の高齢化などによってリンゴの栽培面積が年々減っている。こうした中だが、高密植栽培というリンゴの木を狭い間隔で植えて効率的な管理収穫を行う栽培方法の普及によって、今、異業種からの参入が相次いでいる。日本一のリンゴの生産量を誇る青森県。しかし高齢化などによる生産者の減少でリンゴの生産面積はこの1年間だけで東京ドーム24個分にあたる110ヘクタール余りが減少した。その一方でリンゴの栽培に異業種から参入する動きが相次いでいる。弘前市で建設会社を経営する齋藤祐二社長。20年近く建設業を続けてきたが、社員の平均年齢が上がり、体力的な理由で会社を辞めてしまう社員が増えてきたことから新規事業としてリンゴの栽培に取り組むことを決めた。参入のきっかけとなったのが高密植栽培。木の間隔を狭めて均一に植えることで機械化が進めやすいほか、脚立を使用せずに地上での作業割合を増やすことで負担の軽減が期待されている。この日、齋藤さんは高密植栽培を学ぶために大規模な園地を視察した。このリンゴ園地の代表で齋藤さんを指導する野澤俊介さん。さらに参入を後押ししたものがある。野澤たちが作り上げた高密植栽培用のマニュアルの存在。トラブル時の対応や収穫までのプロセスが分かりやすくまとめられている。これまで手間暇かけて農家の人が収穫を行ってきたリンゴ。高密植栽培によって収穫が効率化されるとともに経験や長年の勘に頼らずにマニュアルで対応できるという。春から本格的に始めるリンゴの栽培。6年ほどで初期コストの回収を見込んでいる齋藤さんは体力的に建設業に携わるのが難しくなった社員をリンゴ栽培に当てるなどして将来的には売上全体の2割を目指す。