マニラ市局長・酒井さんは「多くのフィリピン国民の感情は政権の外交方針と合致していると言える。フィリピン国内では南シナ海の領有権を巡る問題で中国との争い・騒動が新聞一面を飾る日が少なくない。そのため、国民の間で中国への好感度が低いのが実情。ただし、フィリピンにとって中国が最大の貿易国であるという事実は変わらない。マルコス政権としては安全保障と経済協力を切り分けて進めたいのが本音。フィリピンは今後、アメリカよりの外交を進めざるを得ないとみられる。理由はフィリピンと中国の関係が厳しさを増すばかりだから。今年1月、マルコス大統領は訪中し、習近平国家主席と直接対談を行った。しかし中国はレーザー照射や放水銃の発射で緊張を高めた他、先月には南シナ海の岩礁に障害物を設置した。フィリピンはこれを撤去するなど応酬は激しくなる一方。マルコス大統領は習主席のフィリピン訪問を要請しているが、首脳会談を開ける雰囲気にはないというのが外交関係者の受け止め。一方でマルコス大統領は今年11月、APECに出席するため今年2回目となるアメリカ訪問を予定している。アメリカとは今後、米軍の拠点を国内に追加設置する方針も話し合われており、蜜月関係が加速していくものとみられる」と話した。