希少な動物や植物の宝庫やんばるの森。今、専門家たちの注目を集めているのがケナガネズミ。肺炎にかかって命の危険にさらされるケースが相次いで確認されている。獣医師の長嶺隆さん。長年やんばるで希少な生き物の保護に取り組んでいる。12年前、肺炎にかかって死んだ個体を初めて発見。解剖すると、体内から「広東住血線虫」という寄生虫が見つかった。これまでに「広東住血線虫」に寄生された例は6件確認されている。「広東住血線虫」は外来種のアフリカマイマイなどのカタツムリ類やナメクジなどの体内に寄生していることが多く、ケナガネズミはこれらを食べることで肺炎に感染する。アフリカマイマイが90年前に持ち込まれたことで沖縄でも広がったとみられている。10月に那覇市で開かれたアフリカマイマイの講演会。はじめは投資目的で養殖され、沖縄戦の際には食料になったこともあったが、今は農作物に被害をもたらしていることなどが説明された。生息域はやんばるの森にまで拡大し、ケナガネズミの間に寄生虫を広げてるとみられる。今年4月に交通事故に巻き込まれ、治療を受けた個体も。さらに11月も国頭村の道路の真ん中で発見された個体は呼吸が荒くなっていた。病院で調べた結果、肺炎の疑いがあった。長嶺さんは寄生虫が原因だからこそ対策が難しいと指摘。長嶺さんは駆除すれば済む問題ではないと考えている。アフリカマイマイは沖縄では街中でも頻繁に見かける生き物だが、やんばるの森での生態についてはまだ分かっていないところも多い。研究者は現状把握が必要だとしていて、まずは死んだケナガネズミが見つかった周辺を調べていく予定。また「広東住血線虫」がほかのカタツムリにどれくらい影響しているかを含め調査しなければならないと話していた。